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異例の五輪、歓声なき幕開け バブルほころび、世論分断…不安抱え

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福島県営あづま球場で始まった東京五輪女子ソフトボール開幕試合の日本—豪州戦。無観客開催のため、スタンドは関係者のみが座り閑散としていた=福島市で2021年7月21日午前9時4分、本社ヘリから 拡大
福島県営あづま球場で始まった東京五輪女子ソフトボール開幕試合の日本—豪州戦。無観客開催のため、スタンドは関係者のみが座り閑散としていた=福島市で2021年7月21日午前9時4分、本社ヘリから

 首都圏を中心に新型コロナウイルス感染拡大の脅威にさらされるなか、東京オリンピックは21日に競技開始の日を迎えた。国内世論は賛否真っ二つに分かれ、変異株による感染リスクの高まりに不安も強い。招致決定から約8年。史上初めて無観客で開催される異例の五輪は静かに幕を開けた。

 熱気あふれる大観衆や、割れんばかりの歓声はどこにもなかった。東京五輪に向け、約13億円をかけて改修されたスタジアム。がらんとしたスタンドには、選手の声とセミの鳴き声が響き、人のざわめきを模したような音も流れていた。

 23日の開会式に先立ち、競技が始まったのはメイン会場の国立競技場から200キロ以上離れた福島県営あづま球場。東日本大震災の被災地の復興を世界に示す舞台となるはずだったが、祝祭感に欠ける光景は、震災からの10年の歳月と新たな厄災によって被災地との心理的な距離が遠ざかる現実を浮き彫りにした。震災発生当時、福島県知事だった佐藤雄平氏は10日に同球場の無観客が決まり、「復興五輪は希薄になってしまった」とつぶやいた。

 新型コロナによって競技実施の根幹が揺らいでいる。外部と遮断するはずの「バブル方式」はほころびが目立つ。選手ら3人の感染が確認され、一時21人が濃厚接触者と認定された南アフリカのサッカー男子代表は22日、日本代表との初戦を迎える。6時間前の検査で陰性が確認されるなどの条件を満たせば、濃厚接触者も試合に出場できるが、綱渡りの準備を強いられる。19日に陽性と判定されたビーチバレー男子のチェコ選手は陽性で隔離されている間は試合に出場できず、26日の初戦は出場が危ぶまれている。

 世論の分断も深まるばかりだ。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長ら幹部は緊急事態宣言が発令中の東京都内から被爆地の広島、長崎の訪問を強行し、不要不急の移動自粛が求められる中、大会組織委員会はIOC関係者ら約40人を招いて歓迎会を開いた。誰のための、何のための五輪なのか。

 「何をやっても受け入れられない」と大会関係者の嘆きは深い。無事に閉幕(8月8日)を迎えられるのか。不安と葛藤を抱えての船出となった。【村上正、細谷拓海】

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