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池江璃花子「もう誰にも負けない」 未来を変える希望の泳ぎ

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日本選手権女子100メートルバタフライ決勝で優勝してメドレーリレーで東京五輪代表入りを決め、インタビューで涙を流す池江璃花子=東京アクアティクスセンターで2021年4月4日、梅村直承撮影
日本選手権女子100メートルバタフライ決勝で優勝してメドレーリレーで東京五輪代表入りを決め、インタビューで涙を流す池江璃花子=東京アクアティクスセンターで2021年4月4日、梅村直承撮影

 2020年7月23日。東京オリンピックは2度目の開幕1年前を迎えた。雨上がりの夜、蒸し暑さが残る無人の国立競技場で行われた記念イベント。白い衣装に身を包んだ彼女は、きゃしゃに映った。

 「世の中がこんな大変な時期にスポーツの話をすること自体、否定的な声があることもよく分かります。ただ、一方で思うのは、逆境からはい上がっていく時には、どうしても希望の力が必要だということです」

 競泳女子の池江璃花子(21)=ルネサンス。聖火のともったランタンを手に、スポットライトを浴びながらゆっくりと言葉を紡いだ。急性リンパ性白血病の闘病生活を経て、プールに戻ったばかり。当時、東京五輪の舞台に立つ未来を誰が想像しただろうか。

「心技」は闘病前以上

 19年2月に白血病と診断されて2年余り。今年4月の日本選手権で池江は、リレーメンバーとして涙の五輪代表入りを果たすとともに、50メートル、100メートルの自由形とバタフライで4冠を達成した。「国民的ヒロイン」の第二の水泳人生は、五輪本番前に次章へと入っている。

 強化の一環で出場した6月のジャパンオープンでのこと。日本選手権では優勝した100メートル自由形で2位になると、表彰台で顔色一つ変えなかった。「自分の泳ぎができなかった」「負けるつもりはなかった」。素っ気ない口ぶりやツンとした表情から、悔しさがふつふつと湧いているのを見て取れた。それは新鮮な光景だった。

 昨年8月に実戦復帰した池江。当初はプールに戻れたこと、レースに出場できたこと、闘病前の自分の記録に迫ること……。経験した全てのことに「うれしい」が伴っていた。

 「悔しい」というコメントがなかったわけではない。それでも同時に笑顔があり、戦いの場に「戻ってきた」という充実感や、ライバルと競り合う「楽しみ」が勝っていた。日本選手権で優勝した次のレースで2位に終わり、本気の悔しさや闘争心に火がついた。

 今年2月、プールサイドの椅子に腰掛け、取材で質問した。「復帰後の池江選手に『欲』はありませんか」。そう聞くと、「うーん……」。しばらく間を置いて…

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