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競泳・萩野公介「背伸びせず、自分のため」 捨てた王者のプライド

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男子200メートル個人メドレー決勝、2位となるも派遣標準記録を突破し個人種目で東京五輪出場を決めて笑顔の萩野公介(左)。右は優勝した瀬戸大也=東京アクアティクスセンターで2021年4月8日午後5時45分、宮間俊樹撮影
男子200メートル個人メドレー決勝、2位となるも派遣標準記録を突破し個人種目で東京五輪出場を決めて笑顔の萩野公介(左)。右は優勝した瀬戸大也=東京アクアティクスセンターで2021年4月8日午後5時45分、宮間俊樹撮影

 東京オリンピックで3大会連続出場となる競泳男子、萩野公介(26)=ブリヂストン=の表情はここ最近、明るい。その笑顔の裏には、2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストとしてもがき続け、たどり着いた新境地があった。

「なんとか生きてます」

 「好きな水泳が嫌いになりつつあります」。東京五輪を翌年に控えていた19年3月。萩野は苦しい胸の内を平井伯昌コーチに伝えた。「やっと言ってくれたな。泳ぎたくなったら戻ってこい」。師からの言葉に救われ、目前に迫った日本選手権を欠場し、休養を決めた。

 マネジメント会社が日本選手権の欠場を公表した3月15日午前。平井コーチは合宿中のスペインから成田空港に帰国すると、険しい表情を浮かべ、愛弟子の気持ちを代弁した。「『結果を出さないと』と思う気持ちが強い。その原因は何か考えると、金メダルを取ったことにもあります。練習はできていたはずなのに、競技会にうまくつながらない。別人です。なんのために泳いでいるのかという葛藤があると思います」

 0歳から水泳を始め、学童時代から記録を塗り替え続けてきた萩野。自らの理想を体現してきたスイマーにとって、リオ五輪後は受け入れられない平凡なタイムが続いた。萩野が休養を決めた時、「もう戻ってこないんじゃないか」と心配した仲間がいた。

 地元・栃木の同じスイミングクラブで育った2学年上の清水咲子さん(29)。リオ五輪では400メートル個人メドレーで8位入賞し、今春、現役引退した。17年世界選手権では萩野とともに日本チームの主将を任されたこともある。

 リオ五輪以降、次第に仲間らと距離を置き、殻にこもる萩野。その姿を清水さんは「とにかくとげとげ、つんつんしてたんです。…

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