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「やって良かった、と言える大会に」五輪で2度立ち退き、男性の願い

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東京五輪開幕の日に空を見上げ、1964年東京五輪開会式の日の青空を思い出し、涙ぐむ甚野公平さん=東京都杉並区で2021年7月23日午前10時24分、丸山博撮影
東京五輪開幕の日に空を見上げ、1964年東京五輪開会式の日の青空を思い出し、涙ぐむ甚野公平さん=東京都杉並区で2021年7月23日午前10時24分、丸山博撮影

 東京オリンピックが23日に開幕する。メイン会場となる国立競技場(東京都新宿区)の建設により、近くの住民は立ち退きを求められてきた歴史がある。1964年と今回開かれる東京五輪のために2度も住まいを立ち退いた甚野公平さん(87)の目にこの大会はどう映るのか。「何のために故郷を離れたのか」。甚野さんはその意味を探し続けている。【五十嵐朋子】

 開会式が行われる23日の朝、取り壊された都営住宅「霞ケ丘アパート」を離れて甚野さんが暮らす杉並区の自宅を訪れた。手には真っ白な模造紙。絵が得意で、オリンピックを応援しようと選手の姿や五輪のマークを描こうとしていた。「とうとう描けませんでした。気持ちが盛り上がらなくて……」

 故郷の歴史は、東京の歴史そのものだ。1933(昭和8)年生まれ。現在の国立競技場の南端にあたる場所の家で育った。すぐ近くに現在の競技場の2代前にあたる「明治神宮外苑競技場」(24年完成)があり、その脇では童謡「春の小川」のモデルとして知られる渋谷川が流れ、草花が揺れていた。「そのころの景色が私にとっての競技場なんです」

 43年、出征する2万5000人の学生を集めた学徒出陣壮行会を柵の間から見た。45年5月には3000人以上の犠牲者を出したとされる「山の手空襲」で一帯が焼け野原に。疎開先の山…

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