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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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「全域避難考えづらい」内閣府担当者発言影響か 東海第2過大算定

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日本原子力発電の東海第2原発(中央)=茨城県東海村で2021年3月18日、本社ヘリから撮影
日本原子力発電の東海第2原発(中央)=茨城県東海村で2021年3月18日、本社ヘリから撮影

 体育館のトイレや倉庫、玄関ロビーなど避難場所になり得ない「非居住スペース」を避難所面積にカウントし、収容人数が過大に算定された日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の広域避難計画。この計画は原発から30キロ圏内の住民約94万人を茨城県内や近隣5県に避難させるものだが、計画策定を支援した内閣府の担当者が関係者を集めた会合で「30キロ圏内全域が避難という状況は考えづらい」などと、避難範囲を小さく見積もる発言をしていたことが判明した。過大算定の影響で、避難所の収容人数不足は県内分だけでも約2万人に上っている。最悪の事態を想定しない内閣府の担当者と、実効性を度外視した茨城県。記者(私)は双方の姿勢がずさんな計画につながったと感じている。【日野行介/デジタル報道センター】

会議の議事録を入手

 毎日新聞は、2014年9月26日に原子力規制庁で開かれた「東海第2地域ワーキングチーム第2回会合」の議事録を入手した。この会議は、東京電力福島第1原発の事故後、避難計画の対象が原発の30キロ圏内になったことを受けて、開催された。茨城県の担当者、避難者を受け入れる近隣5県(福島、栃木、千葉、群馬、埼玉)の防災担当者、国からは内閣府の担当者が出席した。

 議事録によると、茨城県の担当者は「1人当たり2平方メートルで避難所の収容人数を算定したところ、30キロ圏内の人口96万人のうち、県内では44万3000人分しか収容能力がない。残る51万7000人の受け入れをお願いしたい」と近隣5県に要請した。続く質疑応答で栃木県の担当者から「30キロより少し外側の地域では、放射性プルーム(雲)が到達して避難者を受け入れられないかもしれない。そうした場合は避難者を他県に回してくれるのか」と質問が出た。

担当者「他の避難先を回す」

 これに対し、内閣府の担当者は「何らかの事情で避難所が使えない場合には、柔軟に他で対応するという考え方が必要。UPZの全域、全部が避難エリアになるかというと、現実的にはむしろホットスポット(部分)的な対応が基本と思っているので、UPZの他の避難先を回していくとか、いろいろと柔軟に対応していくという話だと思っている」と述べた。

 UPZ(緊急防護措置区域)とは、原発から5キロ圏内のPAZ(予防防護措置区域)の外側にある5~30キロ圏内の区域のことだ。原子炉を冷やせなくなるなど「全面緊急事態」になると、PAZの住民は避難を始め、UPZでは屋内退避する。ただし、放射性物質の漏れが確認され、空間線量が一定レベルに達した場合、UPZの住民も避難することになっており、区域内の自治体には避難計画の策定が義務づけられている。

 さらに、議事録によると、内閣府の担当者は「福島(の事故)の…

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