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五輪唯一の日本人柔道審判員務める女性は老舗の15代目

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東京オリンピックで日本から唯一選ばれた柔道の審判員で「宗家花火鍵屋」15代の花火師、天野安喜子さん=東京都江戸川区で2021年7月7日午後2時54分、柳澤一男撮影
東京オリンピックで日本から唯一選ばれた柔道の審判員で「宗家花火鍵屋」15代の花火師、天野安喜子さん=東京都江戸川区で2021年7月7日午後2時54分、柳澤一男撮影

 東京オリンピック柔道の審判員に日本から唯一、東京都江戸川区の天野安喜子(あきこ)さん(50)が選ばれ、試合に臨んでいる。世界トップクラスの国際審判員は、江戸時代からの花火のかけ声「かぎや~」で知られる老舗「宗家(そうけ)花火鍵屋」15代目でもある。審判員として2008年北京オリンピック以来の「五輪の畳」。今回の心構えは13年前とは違うという。その心境とは――。

 天野さんは学生時代、柔道の有力な選手だった。父で14代目の修さん(84)は老舗を受け継ぎながら地域の青少年育成のため、柔道場も開いた。天野さんも小学2年の時に道場入り。中学3年時には日本代表の女子強化選手に選ばれ、1986年の福岡国際女子柔道選手権では銅メダルを獲得した。

 大学卒業後は選手を引退。家業を継ぐため山梨で花火師の修業をしていた時、修さんから「東京都柔道連盟が女性審判員を育成するそうなので、受けたらどうか」と勧められ、「二足のわらじ」を履くことに。まず国内C級を取得し、B級、A級、国際柔道連盟の「コンチネンタル」とステップアップ。05年にはさらに上の「インターナショナル」審判員に上り詰めた。国際大会で審判を務めて経験を積み、世界で二十数人しか選ばれない北京五輪の審判員に選ばれた。

 00年に襲名した「15代目」としても忙しい日々。夏のシーズンはもちろん、秋の大会やカウントダウンイベントなどでの花火の打ち上げもあり、準備や打ち合わせ、当日の現場での指揮など仕事は多岐にわたる。いつも繁忙期と重なるため、北京五輪以降は五輪審判員を目指すことができなかった。

 しかし、東京大会開催が決まると、「地元の五輪で審判を務めたい」との思いが募り、挑戦が始まった。選ばれるために必要なポイントを伸ばすため、19年から国際大会を飛び回る生活で、日本滞在は1年の半分ほど。その結果、今年2月に同連盟から、選ばれたことを知らせるメールが届いた。「家族をはじめ、多くの人に助けてもらったおかげだから、ほっとした」と振り返る。

 東京大会を前に、大きく注目された試合の主審も担当した。20年12月、東京・講道館であった男子66キロ級の五輪代表決定戦。日本柔道史上初の1試合限定・直接対決による選考は、阿部一二三選手が、19年世界一の丸山城志郎選手に優勢勝ちし、五輪代表入りを決めた。

 この試合は新型コロナウイルス感染対策のため、無観客開催。少しも話してはいけないと感じるほど静まりかえった会場は、ただならぬ緊張感に包まれた。これまで8000試合以上のジャッジをしてきた天野さんですら「経験したことがない空気」だったという。歓声がないまま両選手が入場し、試合が始…

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