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橋爪大三郎・評 『<世界史>の哲学 近代篇1 <主体>の誕生』=大澤真幸・著

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『<世界史>の哲学 近代篇1 <主体>の誕生』
『<世界史>の哲学 近代篇1 <主体>の誕生』

 (講談社・3520円)

近代克服目指す 多様な可能性探る

 シリーズ『<世界史>の哲学』。古代、中世、東洋、イスラーム、近世に続き、いよいよ近代篇だ。2分冊の『近代篇2』も6月に発売になった。ウェーバーの『経済と社会』に比肩する圧倒的な仕事である。知識界は偉業に脱帽するがよい。

 <世界史>は歴史というより、時空をまたぐ多様な社会の可能性のこと。「哲学」は比較社会学のこと。なぜそこまで視野を拡(ひろ)げるのか。それは近代と資本主義の制約を突き抜け、未来を構想するためだ。

 かつて大澤氏は『身体の比較社会学』で「第三者の審級」をキーワードに、独自の社会理論を構想した。「第三者の審級」は、死んだとされる神でも権威をなくした父親でもない。社会を社会たらしめる究極の原理をいう。この原理の変奏としてさまざまな社会を解明できるのだ。

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