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わざおぎ登場

古典芸能を長年取材してきた専門編集委員の小玉祥子記者が、毎回1人の歌舞伎俳優に焦点を当て、インタビューや演目について解説します。「わざおぎ」とは古くから俳優を意味する言葉です。毎月1回掲載します。

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わざおぎ登場

死に際に「滅びゆく美」 源平布引滝 義賢最期で木曽先生義賢役 松本幸四郎さん

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松本幸四郎さん=宮本明登撮影
松本幸四郎さん=宮本明登撮影

 今回取り上げるのは8月の東京・歌舞伎座「八月花形歌舞伎」第3部で上演される「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき) 義賢最期(よしかたさいご)」。主役で壮絶な最期を遂げる木曽先生義賢を松本幸四郎さんが初役でつとめる。

 源氏と平家の戦いを題材にした歌舞伎作品は多いが、本作もそのひとつ。だが主役は源平の合戦の英雄ではない。「平家物語」で活躍する木曽義仲なら知っているが……という向きも多いかもしれない。義賢はその父。「義賢最期」と後段の「実盛物語」は「平家物語」のヒーローのひとりで「朝日将軍」とも呼ばれる義仲誕生までの物語でもある。

 人形浄瑠璃で寛延2(1749)年に初演された義太夫物で、宝暦7(1757)年に歌舞伎化された。全五段で「義賢最期」は二段目、上演頻度の高い「実盛物語」は三段目にあたる。義賢の父、源為義は保元の乱、兄の源義朝は平治の乱で平清盛に討たれた。

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