特集

東京オリンピック

東京オリンピックに関する特集ページです。

特集一覧

翻弄された築地 コロナで大打撃 見えない五輪後 女将の思い

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
築地市場の移転に反対し続けてきた「築地女将さん会」会長の山口タイさん=東京都中央区築地で2021年7月15日午後4時38分、松倉佑輔撮影
築地市場の移転に反対し続けてきた「築地女将さん会」会長の山口タイさん=東京都中央区築地で2021年7月15日午後4時38分、松倉佑輔撮影

 東京オリンピック・パラリンピックの選手村や競技会場が集中する東京の湾岸エリア周辺。かつて築地市場があった跡地は大会期間中、車両基地として使われているが、大会後にどうなるかは未定だ。市場が豊洲に移転した後も、新型コロナウイルスと五輪に翻弄(ほんろう)される築地を訪ねた。【松倉佑輔/デジタル報道センター】

紆余曲折、様変わりした築地

 「まちそのものが変わっちゃって。本当に静かになっちゃってね。以前は活気があふれるまちだったんですよ。市場が地域に及ぼす影響というのはこんなにも大きかったんだなと、改めて感じています」

 かつて豊洲移転の反対運動の先頭に立ってきた「築地女将(おかみ)さん会」会長の山口タイさん(78)。築地場外市場近くの自宅兼事務所で記者を迎えると、しみじみと語った。以前は市場への買い出しに訪れる人や車で密集していた事務所前の通りは、東京都に緊急事態宣言が発出される中で人通りもまばらだ。

 タイさんは鮮魚の仲卸を営む樋徳(ひとく)商店に嫁ぎ、場外市場で必要なものを調達して店に運ぶなど、3代目の博司さん(80)を女将として支えてきた。

 世界最大級の魚市場を擁し「日本の台所」と呼ばれてきた築地市場。その移転問題は紆余(うよ)曲折の連続だった。

 老朽化などによって石原慎太郎知事(当時)が豊洲への移転を決定したのが2001年だった。その是非を巡って、市場の仲卸業者の間では意見が割れた。

 タイさんは移転の中止を求める女性たちを代表して、女将さん会の会長に就任した。当時は反対運動の中心としてメディアにも多く取り上げられた。

 既定路線だった豊洲への移転の潮目が変わったと思われたのが16年。その年、女性初の都知事になった小池百合子知事が移転延期を表明した。

 ただ、その後に計画は迷走。結局、18年10月、市場は築地から豊洲に移転。移転費用がかさむことなどから、多くの仲卸業者が廃業した。

 当時は無念さをメディアに語っていたタイさん。「今となってしまっては仕方がないかもしれません。少しでも豊洲が良くなって、後継者の人たちが良い状態でやっていければいいと思います」と振り返る。樋徳商店も豊洲に移って営業を続けており、長男の健司さんが4代目の社長に就いた。

 ただ、タイさんが豊洲市場に足を踏み入れることはない。「豊洲に行くと、引きつけみたいに、ぜんそくが起こるようになっちゃったの。気持ちの問題ですね。年も年だしね、全然豊洲には行っていません」

新型コロナで打撃、募る不信感

 豊洲移転は、築地場外市場のあり方も大きく変え…

この記事は有料記事です。

残り2612文字(全文3674文字)

【東京オリンピック】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集