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あの日、4歳だった長男はリビングで血を流して倒れている母親を見つけた。駆け寄って「ママ、ママ」と揺さぶったが返事はなかった。犯人は捕まらないまま、20年の時が過ぎていった。社会人となった長男も、母親代わりとなって孫を育てた祖母も事件の風化を懸念している。「忘れないでほしい」。遺族はそれぞれに事件の解決を今も祈り続けている。【佐野格/デジタル報道センター】
2001年6月29日午後2時50分ごろ、北九州市若松区青葉台南の閑静な住宅街で、主婦の関岡晴美さん(当時34歳)が自宅で殺害されているのが見つかった。発見したのは幼稚園から帰宅した当時4歳の長男巧真さん(24)だった。
断片的な母親の記憶
「今もあの光景は鮮明に覚えています。強烈に脳裏に焼き付いていますね」。無施錠の玄関を開けて家にはいると、ガラス戸越しにリビングで母親が倒れているのが見えた。体から血を流し、目を見開いた母親。後ろからは一緒に付いてきた幼稚園教諭の叫び声が聞こえた。記憶はここで途切れる。あとは火葬場で家族が遺骨を囲んで泣いていた記憶がおぼろげにあるくらいだ。
「今も母を思い出すときには最初に思い出しますね」。…
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