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「この子はすごい」飛び込み・玉井陸斗の才能見いだした恩師の直感

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東京オリンピック高飛び込み代表の玉井陸斗選手を指導した馬淵かの子さん=兵庫県宝塚市で2021年7月2日、木葉健二撮影 拡大
東京オリンピック高飛び込み代表の玉井陸斗選手を指導した馬淵かの子さん=兵庫県宝塚市で2021年7月2日、木葉健二撮影

 東京オリンピックは6日、男子高飛び込みの予選に兵庫県宝塚市立高司(たかつかさ)中3年、玉井陸斗(りくと)選手(14)=JSS宝塚=が登場する。日本選手権など国内の大会で最年少の優勝記録を塗り替えてきた注目の新星。才能を見いだし指導したのは、1964年の東京五輪に同じ飛び込みで出場した馬淵かの子さん(83)だ。「自国開催の大会で緊張せず演技するのは非常に難しい。普段通り飛んで、自分の力を出し切ってほしい」とエールを送る。

 玉井選手は高さ10メートルからの高飛び込みに小学6年の夏から本格的に取り組み、中1だった2019年4月の日本室内選手権で鋭い回転力で大技を連発し、史上最年少の12歳で初優勝した。5カ月後の日本選手権も史上最年少で優勝し、20年の日本選手権で連覇を達成。今年5月のワールドカップで8位に入り、初の五輪代表となった。

東京オリンピック高飛び込み代表の玉井陸斗選手(左)を指導した馬淵かの子さん=兵庫県宝塚市で2021年7月2日、木葉健二撮影 拡大
東京オリンピック高飛び込み代表の玉井陸斗選手(左)を指導した馬淵かの子さん=兵庫県宝塚市で2021年7月2日、木葉健二撮影

 JSS宝塚スイミングスクール(宝塚市)でコーチを務めるかの子さんが、玉井選手の指導を始めたのは小学1年から。夏の体験教室を経て競技を始めた玉井選手を5、6回教えたところ、「この子はすごい」と直感した。バランス感覚に優れ、手足などすべての関節が軟らかい。通常2、3年かかるのに、1年ほどで頭から真っすぐ入水できるようになった。「このまま中学まで私のチームに置いておくのはもったいない」。五輪代表選手も指導する馬淵崇英(すうえい)コーチ(57)のチームに“飛び級”させた。

 飛び込みの強豪国・中国での長期合宿に小4で参加するよう、かの子さんが母親を説得したこともあった。崇英コーチも当時、「こんな小さい子を合宿に連れて行って、どこまで伸びるのか」と思っていたというが、「想像以上に急成長した。弱点を修正するため、まず弱点を探さないといけないほど欠点のない選手になった」と舌を巻く。

東京オリンピック最終予選を兼ねた飛び込みのワールドカップで笑顔を見せる玉井陸斗選手(左)=東京アクアティクスセンターで2021年5月3日、宮武祐希撮影 拡大
東京オリンピック最終予選を兼ねた飛び込みのワールドカップで笑顔を見せる玉井陸斗選手(左)=東京アクアティクスセンターで2021年5月3日、宮武祐希撮影

前回東京五輪の「後悔」

 かの子さんには忘れられない思い出がある。64年東京五輪の女子飛び板飛び込み。台に上がるとアナウンスの声も聞こえないほどの割れんばかりの歓声を受け、緊張で膝がガクガクと震え崩れた。メダルも期待されたが、1回目の飛び込みに失敗し、7位に終わった。「56年のメルボルンや60年のローマ大会にも出場したが、自国開催は応援の大きさが違った。もっと冷静になれば良かったと後悔した」と振り返る。

 今回の東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客となり、当時と状況が異なるが、「陸斗は大舞台で人一倍頑張ろうとするだろうから、頑張るなよとアドバイスした。頑張ると失敗する。自分が失敗していますから」と笑う。玉井選手から「いつも体調を心配してくれる優しいコーチ」と慕われるかの子さん。「孫みたいな存在。メダルを取ってくれるのは夢だけど、出場してくれるだけで本当に幸せ。メダルなんかには代えられない」【桐野耕一】

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