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「最期」のとき

「大槌町役場職員・東日本大震災津波犠牲職員状況調査報告書」。生還職員ら56人の証言で、犠牲になった職員ら38人の詳細な死亡状況が初めて公文書に記されました。今を、将来を、生きる人々に、震災の何を忘れないで、どのように伝え、備えるのか。「最期のとき」から考えます。

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「最期」のとき

東日本大震災・大槌/中 津波襲来までの35分間解明 遺族の「なぜ」 報告書に糸口 /岩手

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震災11年目に初めて報告書に示された犠牲職員38人の最終目撃地点=岩手県大槌町役場職員・東日本大震災津波犠牲職員状況調査報告書より
震災11年目に初めて報告書に示された犠牲職員38人の最終目撃地点=岩手県大槌町役場職員・東日本大震災津波犠牲職員状況調査報告書より

 2011年の東日本大震災で犠牲になった大槌町役場職員の死亡状況を明らかにする多難なミッション。調査員の佐藤孝雄さん(55)は昨春、遺族を尋ねることから始めた。

 「責めるつもりはない。弔いと思ってお願いしたい」「本人は(高台の)城山へ行くべきだと思っていたのでは」「同僚を助けることができず、ただただ申し訳ない」。最期のときを知りたいという遺族は39家族にのぼった。

 企画財政課財務班主事だった鈴木有香里さん(当時28歳)の母みよさん(67)は花巻市へ避難後も毎週、大槌町内外の遺体安置場などを巡った。母と夫は変わり果てた姿で見つかったが、有香里さんの行方は知れない。「津波が来たと叫び声がした時、水に引き込まれたのか」「屋上へのハシゴにたどり着いたなら、どうして上がれなかったのか」「『死にたくないよー』と夢に出てくるんです」。佐藤さんに思いの丈を語った。

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