ウイグル「人権」で窮地 ユニクロの打開策は

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インタビューに答える日本経済大の西村尚純教授=東京都千代田区で2021年7月19日、内藤絵美撮影
インタビューに答える日本経済大の西村尚純教授=東京都千代田区で2021年7月19日、内藤絵美撮影

 思いがけない中国リスクが日本を代表する大企業を襲っている。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。人権問題が指摘されている中国・新疆ウイグル自治区の綿を使用しているのではないかと疑われ、フランスの検察が捜査に乗り出すなど、世界から激しい反発が上がっている。難局を切り抜ける方法はあるのか。流通業に詳しい日本経済大の西村尚純教授に尋ねると、「世界の潮流を見誤ってはいけない」との厳しい指摘が返ってきた。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】

ウイグル問題で明言避け、批判はエスカレート?

 ――米国の税関でユニクロのシャツの輸入が差し止められたのに続き、仏検察は人権団体の告発を受け、人道に対する罪の隠匿の疑いで現地法人の捜査に着手しました。なぜこれほど大きな問題になっているのでしょう。

 ◆新疆ウイグル自治区で少数民族が「綿摘み」などの強制労働に従事させられているなどと伝えられ、世界のアパレル大手の対応に強い関心が寄せられている。そんな中、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は4月の決算記者会見で、「政治問題なのでノーコメント」とだけ述べ、人権問題について明言を避けた。中国という巨大な国家が相手であり、中国政府は「人権問題はない」と主張している。新疆ウイグル自治区という厚いベールに包まれた地域の微妙な話でもある。一企業として発言しにくいのは理解できるが、明言を避けた結果、国際的な人権団体などの批判がエスカレートしてしまった。

 同社は元々、人権尊重に後ろ向きではなく、原材料の調達から販売までの「サプライチェーン」に問題がないかなどを厳しくチェックしている。その対応は世界の有力企業と遜色ないレベルだ。今回の問題でも「人権が守られた綿だけを使っている」と説明はしている。それでも批判が収まらないのは、新疆ウイグル自治区の人権問題自体について明確なメッセージを発していないからだ。

 ――まずはウイグルの人権問題についてきちんと発言すべきだと?

 ◆米スポーツ用品大手ナイキは「強制労働問題を懸念している」との声明を出している。ファーストリテイリングも一歩踏み込んだメッセージを出すべきだ。そうしないと、消費者や投資家から「人権を軽視し、社会的責任を果たさない会社だ」と見られてしまう。消費者などの間でマイナス評価が広がる危険を「レピュテーション(評価)リスク」と呼ぶ。その影響は1、2年で消えることはなく、長年にわたって人々の心にずっと残り続ける。同社が何の声明も出さなければレピュテーションリスクは大きくなるばかりで、悪いイメージが長く定着してしまう恐れがある。

 ――ナイキやスウェーデンの衣料品大手H&Mはウイグルの人権問題に懸念を示した途端、中国で激しい不買運動に直面しました。中国市場を失う恐れは大きいです…

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