特集

東京オリンピック

東京オリンピックに関する特集ページです。

特集一覧

五輪とコロナが混在する街 メキシコTV局が見た東京

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
浅草寺前の仲見世商店街を笑顔でリポートするイネス・サインスさん=東京都台東区で2021年7月21日、國枝すみれ撮影
浅草寺前の仲見世商店街を笑顔でリポートするイネス・サインスさん=東京都台東区で2021年7月21日、國枝すみれ撮影

 いよいよ東京オリンピックが始まった。デルタ株が広がって新型コロナウイルス禍は収まらず、緊急事態宣言が出たままで、である。来日中の海外メディアはどう過ごしているのだろうか。感染拡大が止まらない街にいて、怖くないのか。メキシコのテレビ局に同行してみた。【國枝すみれ/デジタル報道センター】

「ルームサービスとコーラ」の2週間

 メキシコで2大テレビ局に挙げられるTVアステカは、五輪のためにスタッフ17人を送り込んだ。せっかく行くなら、1万キロ以上も離れた地の文化や特徴を伝える取材をしたい。そう考えて早めに来日し、ホテルで2週間の隔離生活を過ごした。

 「来日できて感動しています。これは特別な機会ですからね。だって本当に少数の人しか、この東京五輪の現場にいることはできないんです」。局の顔であるスポーツアンカーのイネス・サインスさんの表情は解放感にあふれていた。7月18日にやっと街に出られるようになったという。

 無理もない。彼女たちは、隔離中はホテル内のレストランにもいかず、ルームサービスだけで食事を済ませ、宅配で届けてもらった大きなボトル入りのコーラでしのいだ。

 日本に滞在している各国のメディアには、選手とは異なるルールが課せられた。隔離されている間はホテルと競技会場、取材計画書で申告した場所だけしか行けない。しかしそれが過ぎれば、電車やバスに乗り、街に出て取材もできるのだ。

 PCR検査は空港での出入国時だけでなく、隔離中は1、3、8、14日目に実施された。それが終わっても、選手に取材する記者は毎日、その他の人も4日に1度の検査が続く。そして帰国前にも、96時間以内に2回の検査がある。また携帯電話には、位置情報アプリを入れる必要がある。

 来日した選手1万1000人の8割、海外メディア関係者4600人も7、8割はワクチンの接種を済ませているという。ただ、それでも陽性者が出るのが現実だ。だから隔離期間中にホテルから外出する大会関係者の存在が問題視される。

 スタッフの一員で、健康管理から取材のアレンジまでこなす西野愛鈴さんが言った。「他社の行動はよく分かりませんが、我が社ではとても考えられません。取材の許可書を没収されたら、日本にいる意味がないのですから。社長からは『隔離期間中に外出したりしてトラブルを起こしたら即クビにする』と言い渡されましたしね」。メキシコから東京への長期派遣は、多額の経費がかかる。失敗できないプロジェクトなのだ。

消毒スプレーはマスクにも

 もちろんTVアステカのスタッフは全員、ワクチンの接種を済ませている。決めた方針は「メキシコ人が100人いたら、95人が行きたいと思うような場所を駆け足で回ること」。浅草寺や東京スカイツリー、皇居、渋谷のスクランブル交差点などを1週間で取材するプランを作った。

 イネスさんはインスタグラムで160万人以上のフォロワーがいる。21日は浅草寺にある五重塔の前で、番組の撮影が始まった。体の曲線を強調した、いかにもラティナ(ラテン女性)のファッションが、日本の街では、いやが応でも目立つ…

この記事は有料記事です。

残り2220文字(全文3498文字)

【東京オリンピック】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

注目の特集