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詩の橋を渡って

「詩の礫」で知られる福島市在住の詩人、和合亮一さんの連載です。

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詩の橋を渡って

「生きるとは何か」問う=和合亮一(詩人)

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詩人の和合亮一さん=東京都港区で2016年3月6日、望月亮一撮影
詩人の和合亮一さん=東京都港区で2016年3月6日、望月亮一撮影

7月

境遇なんて関係ない

今日も闘う全ての人には

決して

つぶされはしない

一本の滑走路があるんだ

 読み終えて目を閉じてみた。生きるとは何か。詩人の止(や)まない問いかけが、詩という器を自然に求めているのが分かった。その希求の手の影が見えた気がした。あらゆる生の根源への意味につながっていこうとするフレーズが、湧き水のようにこんこんと溢(あふ)れている。そのような印象を岩崎航の新詩集「震えたのは」(ナナロク社)から受け取った。まぶたを開き、また読み直した。詩そして文学への誠実さが静かに伝わってくる。

 「うれしい。こわい。震えたのは、懸命に生きようとしているからです。」。作者は幼い頃から筋ジストロフィーという難病を患ってきた。やがて詩と出会う。本書の刊行は2冊目。病床にて握るペンの力が、命の震えと共に手渡されていく。「境遇なんて関係ない/今日も闘う全ての人には/決して/つぶされはしない/一本の滑走路があるんだ」。混迷する社会の毎日のなかで、私たちの「闘う」意味をあらためて考えさせられた気がした…

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