連載

舞台評

舞台芸術を批評します。

連載一覧

舞台評

大阪・国立文楽劇場、夏休み文楽特別公演 純度の高い感情に見応え

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 新型コロナウイルスの影響で思うように旅やレジャーに出掛けられない夏が続く。だが大阪・国立文楽劇場の夏休み文楽特別公演は、季節の風情に満ちている。山や海の情景、夏祭りの熱狂、ちょっとしたお化け屋敷気分までが涼しい客席で楽しめる。

 第1部は親子劇場。「うつぼ猿」は狂言から移された演目。権力者である大名が、猿曳(さるひき)の猿がただ無心に舞う姿の前でこうべを垂れるさまが印象的。おとぎ話が基の「舌切雀」は、子雀に無慈悲な仕打ちをしたお竹ばあさんが、山の中の雀を訪ね、親雀から葛籠(つづら)をもらう。中から飛び出す化け物たちがなかなかの迫力だ。お竹が心を改め、雀たちと仲直りする気持ちのいい結末。雀役の人形遣いたちが見せる宙乗り、華やかな総踊りが終幕を盛り上げる。

 第2部は「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」。恋しい阿曾(あそ)次郎(じろう)(人形は吉田和生)を追って家を出た娘・深雪(桐竹勘十郎)が、流転の末に盲目の女芸人となる。和生の阿曾次郎は抑制された動きに恋をにじませ、勘十郎の深雪は首(かしら)の角度や肩の線で恋の苦しみを表す。悪の一味の医者・萩の祐仙が軸となるチャリ場(滑稽(こっけい)な場面)も見どころ。吉田簑二郎が祐仙の動きを軽妙に見せ、…

この記事は有料記事です。

残り374文字(全文904文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集