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五輪さなかの第5波 首相の楽観姿勢を危ぶむ

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 東京オリンピックのさなか、緊急事態宣言下の東京都で新型コロナウイルスの感染「第5波」の拡大に歯止めがかからない。

 都内の1日当たりの新規感染者数はきのう3100人を超え、2日連続で最多を更新した。1週間平均で見ても前週の約1・5倍となっている。

 深刻なのは、宣言発令から2週間以上がたつにもかかわらず、過去の宣言時と異なり、感染者数が減少に転じていないことだ。

 ワクチンの接種が進んでいない50代を中心に重症者が増えている。中等症でも高濃度の酸素投与を要し、重症者と同様の医療体制が必要な場合もある。

 救急搬送先がすぐに見つからないケースが急増し、コロナ病床確保のため一般の医療にも制限が及びそうだ。医療現場は病床逼迫(ひっぱく)への危機感を強めている。

 東京と生活圏が重なる埼玉など3県でも、新規感染者数が過去最多となっている。政府は緊急事態宣言を発令し、足並みをそろえた対策を取るべきだ。

 感染者数を抑えない限り全体の入院患者は増え続け、いずれは医療体制に限界が生じる。

 にもかかわらず、菅義偉首相の対応には危機感が感じられない。

 感染者急増にも「不要不急の外出を避け、オリンピックはテレビで観戦してほしい」と呼び掛けるにとどまっている。

 五輪については、「人流(人出)は減少しており、心配もない」と中止の可能性を排除した。

 だが、人出は前回の宣言時ほどには減っていない。感染力の強い変異株の広がりも懸念材料だ。

 大会組織委員会は感染状況に大きな変化が生じた場合、都や政府などを含めた「5者協議」で対応を議論するとしている。事態の推移を注視して臨機応変に対応する必要がある。

 宣言の効果が薄れているという指摘もある。国民の間には自粛疲れや「コロナ慣れ」が広がり、営業時間の短縮要請に応じない飲食店も増えている。

 首相が根拠の薄い楽観姿勢を取っているようでは、国民の協力は得られない。医療崩壊という最悪の事態を避けるため、気を緩めずに感染対策を徹底するよう、明確なメッセージを打ち出すべきだ。

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