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「借り物だらけ」の開会式 64年五輪神話の呪縛 吉見俊哉さん

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東京五輪の開会式が行われている国立競技場そばの上空を、地球の形を模して編隊飛行するドローン(右上)=東京都渋谷区の渋谷スカイから2021年7月23日午後10時48分、手塚耕一郎撮影
東京五輪の開会式が行われている国立競技場そばの上空を、地球の形を模して編隊飛行するドローン(右上)=東京都渋谷区の渋谷スカイから2021年7月23日午後10時48分、手塚耕一郎撮影

 7月23日に行われた東京五輪の開会式。事前の度重なるトラブルもあってか、NHKの放送は平均世帯視聴率56・4%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と、よくも悪くも世間の関心を集めた。この開会式をどう見たか、「五輪と戦後」(河出書房新社)などの著書がある吉見俊哉・東大大学院教授に寄稿してもらった。吉見教授は1964年の東京五輪と比較しつつ、「60年代の陳腐な反復」だったと指摘する。

  ◇  ◇

 2021年東京五輪開会式は、この五輪が経てきた失敗の連鎖を象徴する出来だった。借り物だらけの焦点の定まらないパッチワークで、衝撃力も心を衝(つ)くメッセージも欠けていた。状況がまるで違うのは百も承知だが、9年前のロンドン五輪開会式の華麗な演出と比較すれば、その落差は目を覆いたくなるほどだ。

 もちろん、開会式直前の二つのスキャンダル、作曲担当の小山田圭吾の障害のある同級生への過去のいじめ発覚による辞任、また演出担当の小林賢太郎がホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をコントで揶揄(やゆ)していたことによる解任が、この式典の国際的評価を大きく押し下げたことは明白だ。しかし、問題は以前から深刻化していたようだ。

 すでに3月、演出の統括責任者になった電通出身の佐々木宏がタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱する演出プランを提案していたことが明らかになり辞任している。その少し前、振付師のMIKIKO(注1)が突然演出の責任者を降ろされるという不可思議な事態も報じられている。

 開閉会式の当初の演出チームは、野村萬斎、椎名林檎、MIKIKOといった明らかに才気に満ちた面々だったが、昨年末に解散した。

 しかも、『週刊文春』によると、MIKIKOが構想していた演出計画は、大友克洋の漫…

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