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世界遺産に縄文遺跡群 自然との共生知る機会に

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 自然と共生する社会が長期間継続した、世界的にもまれな文化の普遍的価値が認められた。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)が「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録を決めた。

 日本最大級の縄文集落跡である青森県の三内(さんない)丸山遺跡や、ストーンサークルとして知られる秋田県の大湯環状列石など4道県の17遺跡で構成される。

 縄文時代は約1万5000年前から約2400年前まで、1万年以上続いたとされる。人々は狩猟や漁労、採集をしながら定住生活を送り、自然環境に適応した持続性の高い社会を形成していた。

 農耕や牧畜と定住がセットになっていた、アジア・欧州の大陸における生活様式とは異なる。

 祭祀(さいし)に使われたとみられる環状列石や、人々の祈りが託された土偶が示すように、精神文化の高さも縄文時代の特色だ。

 これまで世界文化遺産は、ピラミッドや教会建築といった歴史的建造物などに偏りがちだった。先史時代の遺跡の登録は世界でも数少ない。国内での登録は今回が初めてだ。

 近年は「縄文ブーム」といわれ、若い女性の関心も高い。国宝の「縄文のビーナス」といった土偶や、火炎土器など出土品の造形美は、考古学の枠を超えて国内外で高く評価されている。

 一方で遺跡そのものにはあまり目が向けられなかった。世界遺産になったことで、縄文人が土器などを使っていた時代や社会、環境についても考えるきっかけになるだろう。

 保護措置を万全にすることも不可欠だ。大湯環状列石は二つのストーンサークルの間に県道が走っている。景観保全の面からも、県道の移設を進めるべきだ。

 縄文遺跡は全国各地に9万件以上あるという。山梨県と長野県にまたがる八ケ岳を中心にした中部高地は黒曜石鉱山など遺跡が多数あり、日本遺産にもなっている。

 北海道・北東北だけでなく、他地域とも連携して縄文の魅力を広く発信していきたい。

 身近にある遺跡に興味を寄せ、コミュニティーの歴史を考える機会になるはずだ。人々のそうした活動が文化財保護にもつながる。

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