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事件記者が答えます

読者から寄せられた警察に対する素朴な疑問や不思議などをもとに、事件担当記者が答えます。

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「マル暴」刑事はなぜコワモテなのか 顔が怖い人が選ばれるの?

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指定暴力団山口組系事務所に捜索に入る大阪府警の捜査員ら=兵庫県姫路市で2019年5月30日午前11時37分
指定暴力団山口組系事務所に捜索に入る大阪府警の捜査員ら=兵庫県姫路市で2019年5月30日午前11時37分

 事件記者が読者からの質問に答えるコーナーを始めます。1回目となる今回は、暴力団犯罪を捜査する刑事の風貌や仕事をめぐる質問です。組事務所の家宅捜索を報じるニュースには、組員とともに「コワモテ」の捜査員も登場して、「どちらがヤクザか分からない」と話題になることもあります。その見た目から心構えまで、捜査員に聞きました。

 <質問>

 「マル暴(刑事)と言われる人たちはどうしてあんなにコワモテなんでしょうか? コワモテの才能がある人が選抜されるのか、そう育成されていくのか、気になります」(東京都中野区、会社員、30代女性)

 「なぜマル暴というのか、普段はどのような捜査をしているのかなど基礎的なことを知りたいです。近年、暴力団の分裂や発砲事件などがやや目立つようになりましたし、暴力団の最近の動向とそれに対する警察の対処の経緯も気になります」(東京都中央区、会社員、20代女性)

 <回答>

 暴力団に関する犯罪を取り締まる、通称「マル暴刑事」。暴力団と対峙(たいじ)するマル暴刑事の見た目は確かに「コワモテ」だ。

 「暴力団員のような格好をしていたのは、変装の意味合いが強い」。警視庁で約10年前まで現役だった60代の元マル暴刑事はこう解説する。マル暴刑事にとって、組員から情報を取るのは重要な仕事で、暴力団内部の協力者と接触する場合、他の組員に警察官と会っていることが分からないようにするために「ヤクザ風」の服装の方が都合がよかったという。

 元刑事によると、組員は一般の人よりも服装や髪形など外見を重視しがちといい、「第一印象で甘く見られないようにして、情報を取りやすくするのも目的」と説明する。「初対面で『良いネクタイをしていますね』と言わせれば、自分の立場が優位になり、情報を得やすくなる。逆にボロボロの靴を履いて…

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