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広島・長崎原爆

1945年8月、広島・長崎へ原爆が投下されました。体験者が高齢化するなか、継承が課題になっています。

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漫画になった「人影の石」 原爆の惨禍、ベルギーから世界へ継承

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原爆投下時に腰を掛けていた人の姿が黒く残った「人影の石」(旧住友銀行広島支店寄贈、原爆資料館所蔵)と、石にまつわる物語が描かれたイラスト(手前)=広島市中区で2021年7月16日、山田尚弘撮影
原爆投下時に腰を掛けていた人の姿が黒く残った「人影の石」(旧住友銀行広島支店寄贈、原爆資料館所蔵)と、石にまつわる物語が描かれたイラスト(手前)=広島市中区で2021年7月16日、山田尚弘撮影

 幼少期に広島市の原爆資料館を訪れたベルギー人が、その時、目にして心を揺さぶられた一つの被爆資料を主題に漫画を描いた。仏語版でタイトルは「ラ・ボンブ(爆弾)」。2020年に出版されると9万部を超える反響を呼び、核保有の5大国である米露英仏中を含む約15カ国で翻訳・出版が進む。被爆者の高齢化が進み、原爆の恐ろしさと戦争の愚かさをいかに後世に継承していくかが課題となる中、少年の脳裏に焼き付いた記憶を基に描かれたストーリーが、「継承」の新たな担い手として世界を歩み始めている。

無言の訴えに衝撃

 漫画を手がけたのはブリュッセル在住のシナリオライター、ディディエ・アルカンテさん(50)。1981年、11歳の時に父に連れられ旅行で訪れた広島の原爆資料館である被爆資料を目にし、経験したことがないほどの衝撃を受けた。アルカンテさんの足が止まったのは、直視できないような悲惨な絵や写真ではなく、無機質な「人影の石」だった。

 人影の石は、爆心地から約260メートルに位置していた旧住友銀行広島支店入り口にあった御影(みかげ)石の階段の一部。爆心地付近の地表温度は3000~4000度に達したとされ、銀行開店前に階段に腰掛けていた人が即死し、腰を掛けていた部分が影のように黒くなって残ったとされる。71年に切り…

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