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鼎談「オリンピック」 評者・本村凌二、岩間陽子、伊藤公雄

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 ◆オリンピック 鼎談(ていだん)

 ■評者 本村凌二(東大名誉教授・西洋史)、岩間陽子(政策研究大学院大学教授・国際政治)、伊藤公雄(京都産業大教授・文化社会学、ジェンダー論)

 ■推薦・本村氏

 ◆オリンピア 遺跡・祭典・競技 村川堅太郎・著(ちくま学芸文庫・1100円)

国家の争い、古代から

 本村 1964年の東京大会の前年に出た本で、2020年、今回の東京五輪・パラリンピックに合わせて文庫で再刊された。著者の村川さんは日本のギリシャ・ローマ学を確立した人で、研究の一環として『オリンピア』を書いた。その後、新しい資料が出てきたり、新しい発掘が行われたりしたが、古代のことなので50年ぐらいたったからといって、そんなに大枠が変わるわけではない。また、名著の誉れがあるだけに、古代オリンピックのエッセンスがつかめる。戦後10年余りたって、著者は初めてギリシャのオリンピアの遺跡を訪れた。その頃はまだ、かつて競技が行われたスタディオンの発掘も完了していなかった。62年にも再訪したうえで書かれたこの本は、遺跡を巡って、それを楽しみ、読者に紹介するという立場で書かれている。

 古代オリンピックは神々の父ゼウスに献じられた祭典で、1200年近く続いた。終わったのはキリスト教が広まり、多神教的な世界を禁じたためだ。古代の人々は神々がもたらす恩恵に対し、返礼の贈り物をささげたが、オリンピック競技が最大級のものだったといわれる。

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