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三浦雅士・評 『移り棲む美術』=三浦篤・著

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 (名古屋大学出版会・6380円)

美術史は人生を豊かにする

 500頁(ページ)を超す大著だが読みやすい。19世紀後半のヨーロッパを席巻したジャポニスムを論じた専門書にもかかわらず、推理小説のように面白い。日本の浮世絵がフランスの画家を刺激して印象派を生み出したとは通説だが、ジャポニスムはさらにいっそう広汎(こうはん)な現象としてあったということがよく分かる。著者の代表作になることは間違いない。

 ラファエル・コランという画家をご存じだろうか。1850年に生まれ1916年に亡くなったが、印象派とは逆のアカデミズム派の画家で、生前は支持もされ有名でもあったにもかかわらず、美術史が印象派中心に語られるようになって以後、本国においてさえ忘れられていた。それが、1999年から2000年にかけて、日本で生誕150年を記念する大きな展覧会が組織され国内を回ることになった。なぜか。黒田清輝をはじめとする…

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