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悩める「走る哲学者」 山県亮太が暗闇の中で見つけたもの

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1年3カ月ぶりの復帰レースとなったセイコー・ゴールデングランプリで予選落ち。厳しい表情で記録を確認する山県亮太=東京・国立競技場で2020年8月23日、久保玲撮影
1年3カ月ぶりの復帰レースとなったセイコー・ゴールデングランプリで予選落ち。厳しい表情で記録を確認する山県亮太=東京・国立競技場で2020年8月23日、久保玲撮影

 陸上の男子100メートルで、9秒台は世界への扉を開く「通行証」である。今年6月、9秒台の仲間入りを果たした山県亮太(29)=セイコー=はこれまで、扉に手をかけながら何度もアクシデントに泣かされた。背中の痛み、気胸、右足首の靱帯(じんたい)断裂、膝の故障……。表舞台から消えた2シーズン。「走る哲学者」は何を思ったのか。

迷う心「自分の価値は何なのか?」

 2019年8月2日。東京オリンピックが延期されなければ、ちょうど1年後に男子100メートル決勝が行われていた日のことだ。移動中の車内でインタビューに答えた山県の目は、少し潤んでいるように見えた。

 「自分のアスリートの価値は何なんですかね? 無いのではないかとまで思ってしまいます。でも、『自分なんて……』で終わらせてはだめ。もうひと踏ん張りして、まだまだこれからだという気持ちにならないといけないです」

 その前年のシーズン、山県の陸上人生は、上昇カーブを描いていた。18年は絶好調で日本選手には無敗。ジャカルタ・アジア大会では自己タイ記録の10秒00で銅メダルを獲得した。悲願の9秒台は目前で、筋力強化を図ったが、そこから運命の歯車が狂い始めた。

 異変の兆候は19年3月、米国での合宿中だった。…

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