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東証の市場再編 経営の質を高める契機に

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 東京証券取引所は来年4月、市場を再編する。

 東証1部など現在四つある市場を、大企業向けの「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」の三つに衣替えする。

 曖昧になっている各市場の位置付けを明確にすることで、投資マネーを呼び込むのが狙いだ。

 現在、東証全体の上場企業の約6割が1部に集中している。業績不振の企業や時価総額が小さい企業も交じっており、海外投資家から企業の価値を見極めづらいといった指摘が出ていた。

 最上位のプライムには日本を代表する企業を集める予定で、市場としての国際的な評価を高めることを目指している。

 このため、1部よりも厳しい上場基準が設けられた。また、社外取締役を増やすといった新たな「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の順守も求められる。

 東証によると、1部上場の約2200社のうち、約3割に当たる664社が6月末時点でプライムの基準に達していない。

 ただ、そのような企業も改善に向けた計画書を東証に提出すればプライムに暫定的に移行できる措置が設けられている。期限は決まっていない。

 これでは、再編の意味が失われかねない。実力が伴っていない企業がプライムに居座り続ければ、投資家の不信を招く。東証は企業の選別を速やかに進めるべきだ。

 市場再編は企業にとって、株式を上場した目的や意義を見つめ直し、経営の質を高める契機となるはずだ。

 信用力が高いプライムへの上場には、業績向上だけでなく、他の企業と長年続けてきた株式持ち合いの解消も必要となる。それには、資金力が求められる。

 これらの負担に耐え、将来的に基準達成の見通しがあるのかを真剣に検討し、規模や体力に見合う市場を選ぶことが重要だ。「プライム上場」という看板やプライドにとらわれるべきではない。

 バブル崩壊後の株価低迷もあり、東証の国際的な地盤沈下が叫ばれて久しい。再編を成功させなければ、海外との競争には生き残れない。

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