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楢崎智亜、ライバルは過去の自分 「世界最強クライマー」証明へ

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ボルダリングのジャパンカップで男子決勝の第1課題に挑む楢崎智亜=東京・駒沢屋内球技場で2020年2月9日、喜屋武真之介撮影
ボルダリングのジャパンカップで男子決勝の第1課題に挑む楢崎智亜=東京・駒沢屋内球技場で2020年2月9日、喜屋武真之介撮影

 勝負してきたのは、世界のライバルではなく過去の自分だ。東京オリンピックで初めて採用されたスポーツクライミングで、男子のエース楢崎智亜(25)=TEAM au=が初代王者を目指す。「完璧に近い状態で金を取る」。新型コロナウイルスによる1年延期で絶頂期を逸しても、進化の歩みは止まらない。

 5月に地元の宇都宮市であった講演会。約400人の親子連れを前に、さらりといってのけた。「みんなは五輪の代表権を目標にしていたが、ぼくは『世界一』を目標に掲げていた。目標を高く設定した方が力を出せるので」。日本の代表権争いが繰り広げられた2019年の世界選手権(東京・八王子)で海外勢を抑えて複合を制し、文句なしで代表の座を射止めた。

 東京五輪で採用された複合は、登る速さを競うスピード、クリアした課題の数を争うボルダリング、登った高さで勝負するリードの3種目で争う。

 東京五輪を1年後に控えた19年当時。選手にとって代表権争いとともに、自信を深めるための重要な1年だった。その年の楢崎は、まさに強かった。世界選手権の複合を制しただけでなく、ボルダリングのワールドカップ(W杯)でも年間優勝を飾った。好調を維持したまま本番に向かうはずだったが、残り4カ月と迫る時期に大会は1年延期となった。「僕にとって最高のシーズンだった。そのままのいい流れで大会に臨みたかった」と振り返る。

 延期された五輪に向けて再スタートを切った楢崎は昨夏、素直な心境を明かしている。「延期で心が折れたことはない。また一つ強くなって大会に挑めると思って切り替えた」。五輪を狙う選手は、4年に1度の大会にピークをあわせてくる。それだけに史上初の延期という事態に戸惑い、モチベーションの維持に苦しむ選手は他競技を見渡しても多かった。しかし、楢崎はすぐに切り替えられた。自分と向き合うすべを心得ていたからだ。

 過去にモチベーションの維持に苦しんだ経験がある。…

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