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笑顔消えた五輪ボランティア 疑問と不信「置いてけぼり悔しい」

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手旗を振って大会関係者を歓迎するボランティアら=神奈川県藤沢市で2021年7月31日午前8時36分、井口慎太郎撮影
手旗を振って大会関係者を歓迎するボランティアら=神奈川県藤沢市で2021年7月31日午前8時36分、井口慎太郎撮影

 報酬なしで五輪を支えるボランティアは「大会の顔」とも呼ばれる。大半の会場が無観客となった東京オリンピックでも多くの人たちが与えられた役割を果たそうとしているものの、その表情は決して明るいものではない。

 7月31日朝、セーリング会場である江の島ヨットハーバー(神奈川県藤沢市)の沿道にそろいの青いポロシャツを着た人たちが並んだ。選手を応援する横断幕を掲げ、関係者を乗せた車が通るたびに元気いっぱいに手旗を振った。

 集まったのは市に登録したボランティアたちだ。無観客で観客誘導の役割がなくなり、市が苦肉の策で思いついたのが沿道からの応援だった。「モチベーションは下がるけど活動できたのは良い思い出になる」と同市の会社員、清水利史(さとし)さん(52)は前向きに受け止めている。

 東京都の女性会社員(53)は観客を案内して「復興五輪」を支えようと福島での活動を希望した。ソフトボールと野球が無観客で開かれた福島市の県営あづま球場で任されたのは、近くの小学生が育てたアサガオの手入れとスタンドのボール拾いだ。ほとんどの時間を球場外で持て余し、「福島に貢献できなかった」と心残りをにじませる。

 茨城県取手市のパート女性(45)は有明アリーナ(東京都江東区)で観客の手荷物検査をするはずだった。これまでに一度も活動はなく、大会組織委員会から新たな役割の連絡もない。

 2000年シドニー五輪で観客を案内し、笑顔で感謝を伝えあう雰囲気にひかれた。東京開催が決まった時から参加を決め、仕事は時間の融通が利く業種を選ぶほど待ち焦がれた。

 それほど大会に期待していただけに、今は政府と組織委に対する不信感を抑えられない。なぜワクチン接種を早く進めなかったのか、とりあえず競技ができて良かったと思っていないか……。「周りが置いてけぼりになるような五輪は悔しい」と声を絞り出した。

 予定通り活動に取り組めたボランティアも疑問を抱えていた。都内のある女性は大会関係者を車に乗せて競技場や練習場に連れて行く運転手役を務めている。選手村にある部屋では当初、40~50人ほどのボランティア運転手がパイプ椅子に座って待機し、テレビすらない中で密の状態が長く続いていたという。

 2日にはボランティア運転手の男性が首都高速道路で追突事故を…

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