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「京大出身」のレッテルに葛藤 競歩・山西利和の悟った境地

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世界選手権男子20キロ競歩で優勝し、国旗を掲げる山西利和=カタール・ドーハで2019年10月5日、久保玲撮影
世界選手権男子20キロ競歩で優勝し、国旗を掲げる山西利和=カタール・ドーハで2019年10月5日、久保玲撮影

 「京都大出身と言われるのは嫌」。東京オリンピックの陸上男子20キロ競歩代表、山西利和(25)=愛知製鋼=の心の叫びだ。眼鏡姿の小柄な世界王者は、判で押したように「文武両道」と見られる葛藤から、どう心境が変化し、金メダル最有力候補になったのか。

「いろいろ考えるタイプ」にはまった特性

 幼い頃、球技は得意でなくスポーツも好きではなかった。中学で長距離を始めたのは「頑張ればタイムが伸びるのが楽しかったから」。ただし長距離では「どこにでも転がっているような選手」だった。

 競歩を始めたのは京都・堀川高1年生の時。陸上部顧問の船越康平さん(現京都工学院高教頭)に勧められたことなどがきっかけだ。競歩は両足が同時に地面から離れれば違反を取られるため歩き方が重要で、「フォームとか歩型とかをいろいろ考えるタイプなので、いい方にはまった」。

 3年生だった2013年世界ユース選手権で1万メートル競歩を制した。ただし堀川高は、京大に多くの合格者を出す府内有数の進学校。世界一になっても京大を志望したのは自然な流れだった。山西は現役で合格。工学部で物理工学を専攻した。

 だが、世間の目は違った。「何で京大に来たの? (強豪の)私学に行けばよかったじゃん」。新入生の歓迎イベントで、高校時代の競技実績を知る京大の学生から容赦なく言われた。

 「なんで、そんなこと言われなあかんねん」

 強い反発を覚えた。結果を出さなければ、「高校の時ほど大したことない」と陰口をたたかれかねない。「それだけは絶対に嫌だった」。冷静かつ論理的で周囲を気遣うこともでき、冗談も分かる山西が感情的に語気を強める姿に驚いた。

 しかし、京大は強豪校と異なり、選手の意識、レベル、目標もバラバラ。スポーツをする環境においては「非エリート」だった。…

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