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「理系白書」の報道などで第1回科学ジャーナリスト大賞を受賞した、元村有希子論説委員のコラムです。

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蓑田胸喜的なるもの=古賀攻

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 戦前の日本に、蓑田胸喜(みのだむねき)という超過激な国粋主義者がいた。

 今では名前を目にすることも少ないが、昭和初期の言論弾圧を代表する「滝川事件」(1933年)の黒幕と言えばイメージしやすい。京都帝大教授を文部省が不当に処分し、事実上追放したこの事件で、「赤化教授」と決めつけて政界を動かしたのが蓑田だ。

 明治中期に熊本県で生まれた。東京帝大を出て慶応大予科の教員時代に極右雑誌「原理日本」を創刊。38年には政治家をバックに「帝大粛正期成同盟」を作り、「反日」学者の糾弾活動をエスカレートさせている。

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