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陰謀論には笑顔で 北米総局・古本陽荘

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 くん製にしたモッツァレラチーズとベーコン、マッシュルームがのったピザをほおばると、いぶされた食材の香りが口の中に広がる。この店で一番人気の「スモーキー」だ。

 米ワシントンの住宅街にあるピザ店「コメット・ピンポン」。この店に男が押し入り、ライフル銃を発砲したのは2016年12月。男は「店の地下室に、民主党とつながった子供を誘拐する小児性愛者の組織がある」という陰謀論を信じていた。根も葉もないデマで、店に地下室はなかった。

 しかし、店への嫌がらせや脅迫は続いてきた。19年には放火事件も起きた。勤続8年のウエーター、マイケルさん(36)によると「店を支えようという地元の人たちのおかげで事件後もずっと経営は順調だ」という。ただ、最近も時々「地下室はどこだ?」と陰謀論を自分で確かめようという人が来る。「そういう人にはね」とマイケルさんは笑顔で語る。「地下室なんてないから、どうぞ自分で確認して。そう言ってやるんだ」

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