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常夏通信

その105 戦没者遺骨の戦後史(51)コロナ禍の五輪 歴史は再現?

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緊急事態宣言の対象地域拡大などについて記者会見する菅義偉首相=首相官邸で2021年7月30日午後7時54分(代表撮影)
緊急事態宣言の対象地域拡大などについて記者会見する菅義偉首相=首相官邸で2021年7月30日午後7時54分(代表撮影)

 権力者は、私たち庶民の想像力をはるかにこえた、桁外れの間違いをする。そしてそのツケは庶民に長く広く押しつけられる。それが一年中「8月ジャーナリズム」=戦争報道をしている「常夏記者」こと私の「常夏史観」だ。コロナと東京オリンピックを巡る政治をみていると、「ああ、やっぱり常夏史観は正しいのかな」と思う。

 五輪まっただ中で、新型コロナの感染拡大が続いている先月30日夜、菅義偉首相は記者会見を開いた。東京、沖縄の緊急事態宣言は延長された。さらに4府県が追加された。沈静化する見込みはないが、五輪は中止しない。交通規制やテレワークで人流(人出)が減少している。それが菅首相の認識だ。記者の一人が「ワクチン接種も進み、人流が減っているのであれば首都圏でここまで感染が急拡大することはないのではないか」とただした。

五輪、コロナ拡大に影響なし?

 菅首相は、およそ18万人が来日すべきだったところ国際オリンピック委員会(IOC)との交渉で3分の1にまで減らし、かつ入国時に日本人と接触しないようにしていることなどを挙げて、「(感染拡大の)原因にはなっていないというふうに思っています」などと答えた。

 会見の30日現在、いったい何人が感染しているのか正確な人数は分からない。どういう経緯で感染したか、すべてを特定することも不可能だろう。その状況で、五輪が感染拡大に影響したかどうか正確に判断できるはずがない。またいかに人数を減らしたとはいえ、五輪がなければ来なかった人たちが多数海外から来ていること、その中にすでにコロナに感染した人がいることは、厳然たる事実だ。

 その状況で「原因になっていない」と言われても、信じるのは難しい。むしろ…

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