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世界時空旅行

 欧州や中東の特派員を務めた筆者が「時空の旅」に出て、歴史の謎やミステリーに迫ります(登場する人物の肩書きなどは原則として取材当時のものです)。

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スパイの街、ベルリン 動物園で秘密の接触? ネタ元は?公開情報が大部分

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「ベルリンの壁」の一部は、壁に絵が描かれた「イーストサイド・ギャラリー」として残されている。共産主義の結束を示したブレジネフ元ソ連共産党書記長とホーネッカー元東独国家評議会議長の「兄弟のキス」の絵の前は、カップルのキスの名所だ=2013年3月、篠田航一撮影
「ベルリンの壁」の一部は、壁に絵が描かれた「イーストサイド・ギャラリー」として残されている。共産主義の結束を示したブレジネフ元ソ連共産党書記長とホーネッカー元東独国家評議会議長の「兄弟のキス」の絵の前は、カップルのキスの名所だ=2013年3月、篠田航一撮影

 ドイツの首都ベルリンは今も昔もスパイの街だ。ドイツ、そしてベルリン自体が東西に分断されていた冷戦期、この街は東西両陣営による情報戦の最前線だったが、統一後も実態は変わっていない。今回はベルリン支局に赴任していた2011~15年に見聞きしたスパイの物語の一端を紹介したい。

 「ベルリンの『動物園駅』で待て。それが私への指示でした」。11年10月、ドイツ国内で取材に応じた韓国人の男性はそう振り返った。この男性は冷戦期の1980年代、留学先の旧西ドイツで北朝鮮の工作員から勧誘を受け、北朝鮮側のスパイとなった経験を持つ。当時、工作員との接触場所に使われたのが、旧西ベルリンのターミナル駅だった「動物園駅」だという。「1人の男が動物園駅で私を出迎えました。その後、近くの森に連れて行かれました。その森にはさらに別の男がいました。男たちは私に対し、北朝鮮のために働くよう勧めてきました」

 この駅は文字通りベルリン動物園の最寄り駅だ。かつてホッキョクグマの「クヌート」で有名になった動物園で、在任中、幼い娘を連れて私も何度か訪れた。近くには観光名所の教会もあり、一帯は今もにぎやかな繁華街である。

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