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少子化考

世界各地を記者が歩きながら、少子化社会の課題や、子どもを持つ意味、家族の幸せとは何かを考えます。

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「多様な家族は伝統と対立しない」 杉山文野さんインタビュー

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フェンシング女子の元日本代表で、トランスジェンダーの杉山文野さん=2021年7月21日、日下部元美撮影
フェンシング女子の元日本代表で、トランスジェンダーの杉山文野さん=2021年7月21日、日下部元美撮影

 連載「少子化考」では、フランスで多様な家族の形態を受け入れる社会のあり方が、結果として出生率を押し上げているとの見方を紹介した。一方、日本では同性婚などの法的整備が進まず、新しい家族の形が認められにくい状況だ。戸籍上は女性だが、男性として生きるトランスジェンダーで、フェンシング女子元日本代表の杉山文野さん(39)は、パートナーの女性と、パートナーに精子を提供したゲイの友人男性と3人で、2人の子供を育てている。杉山さんは「家族の多様化は伝統的な家族観と対立するものではないと知ってほしい」と訴える。その思いとは。【聞き手・日下部元美】

なぜ3人で親になったか

 ――杉山さんは今年3月に出版された著書「3人で親になってみた」(毎日新聞出版)で、現在「父親」として子育てをしていると書かれています。経緯を教えてください。

 ◆まず前提として、現在の法律上、性別適合手術を受けなければ戸籍の性別変更はできません。僕は手術を受けていないため戸籍は女性のままなので、パートナーの女性と結婚することができません。彼女と付き合い始めて数年たった頃、子供がほしいという話が出ました。ただ、2人の間では自然妊娠ができないので、養子を受け入れるか、精子提供を受けて彼女が産むという選択肢しかありませんでした。彼女の「できるのであれば自分で産みたい。全く知らない人からの精子提供は不安」という意向もあり、性的少数者の権利運動を長年一緒にしてきたゲイの友人、松中権さん(ゴンちゃん)に提供してもらいました。僕たちの家族がユニークなのは、提供者のゴンちゃんも子育てに関わっている点です。ゴンちゃんも子供が欲しいと思う一方、ゲイである自分が日本で子供を持つのは無理だと諦めていた。そして僕と彼女の2人だけでは子供を持つことはできなかった。それなのに、ゴンちゃんだけが親になれないのはフェアじゃない。なので、3人で親になることにしました。ゴンちゃんは子供を保育園に送ったり、週末に子供を公園に連れて行ったりして関わって…

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