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この国に、女優・木内みどりがいた

「アベ政治を許さない」と書かれたプラカードを国会前で掲げた女優、木内みどりさん。その足跡をたどります。

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この国に、女優・木内みどりがいた

伊丹十三監督に選ばれた理由・その2/40

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毎日新聞のインタビューに答える木内みどりさん=東京都千代田区で2019年1月15日、手塚耕一郎撮影
毎日新聞のインタビューに答える木内みどりさん=東京都千代田区で2019年1月15日、手塚耕一郎撮影

 1993年公開の映画「大病人」(伊丹十三監督)で木内みどりさんが演じた看護師は、主要登場人物5人のうちの一人だ。前回に続き、伊丹さんの俳優論とキャスティングについて紹介したい。【企画編集室・沢田石洋史】

映画「大病人」のキャスティング

 伊丹さんの日記やインタビューで構成される著書「『大病人』日記」(文芸春秋)は、この映画の公開日に合わせて出版された。映画の製作過程を追うことによって創作の秘密に迫り、映画がヒットするための「諸条件の法則化」を目指した意欲的な本だ。「文春の人」(編集者)によるインタビューは次のように始まる。

 伊丹さん <映画の準備が本になりますかね>

 文春の人 <なります(笑)>

 伊丹さん <そういいきられると――>

 文春の人 <だって今まで六本の映画を作られてすべてヒットしてるわけでしょう。一体その秘密はなんだろう、というのは誰しも知りたくなりますよ>

 伊丹さん <それはよく聞かれるんですが、僕自身何らかの自覚的な方法論を持ってるわけじゃないんで――>

 文春の人 <だからそれを探ってゆきましょうよ。伊丹さんは日記をつけておられるんでしょう>

 84年公開の映画「お葬式」以来、伊丹さんの監督作品は軒並みヒットしてきた。行列のできるラーメン店への道のりを描いた「タンポポ」(85年)、国税庁の査察がリアルな「マルサの女」(87年)、「マルサの女2」(88年)、男性に上昇運をもたらす女性を巡るコメディー「あげまん」(90年)、民事介入暴力(ミンボー)に立ち向かう「ミンボーの女」(92年)――。第6作目の「ミンボーの女」は暴力団新法の施行直後に上映された。伊丹さんは暴力団組員にナイフで切りつけられ、3カ月の重傷を負っている。その次作にあたる「大病人」は大きな注目を集めた。

 インタビューで「文春の人」はこう水を向ける。

 <われわれ興味があるのは、…

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