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まいにちボードゲーム

日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。

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囲碁がヒント「ツィクスト」 アブストラクトゲームの名作

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囲碁にヒントを得て考案されたという「ツィクスト」 拡大
囲碁にヒントを得て考案されたという「ツィクスト」

 将棋の藤井聡太王位(棋聖と2冠)の快進撃が止まりません。7月はなんと負けなし。将棋はそれほど詳しくない筆者ですが、藤井王位の対局は見入ってしまいます。最近の将棋番組ではAI(人工知能)による評価値や候補手が表示される場合があり、素人でも楽しめますね。

運要素ないアブストラクトゲーム

白と黒のペグを交互に挿していって 拡大
白と黒のペグを交互に挿していって

 囲碁や将棋のような、①テーマ性が無いか希薄②サイコロやカードめくりなどの運要素がない③手札などの秘匿情報がない――2人対戦ゲームをアブストラクト(抽象的)ゲームといいます。ゲーム理論で言うところの「2人零和(ゼロわ)有限確定完全情報ゲーム」。以前紹介した伝統ゲーム「マンカラ」もアブストラクトゲームにあたります。知識と知力が勝負を分けることになるので基本的に苦手なのですが、それほどメジャーじゃないゲームなら自分でも勝てるかもなんて邪念も。

 「ツィクスト」は、ボードゲーム界の巨匠アレックス・ランドルフ(1922~2004年)が日本に滞在中、囲碁をヒントに考案したとされるアブストラクトゲームの名作。ライセンスのないコピー作品が氾濫し問題となっていたのですが、ジーピー社(東京都新宿区)が日本でのライセンスを得て2020年に正規品を発売。入手しやすくなりました。

いわゆる桂馬跳びの位置ならブリッジを渡すことができる 拡大
いわゆる桂馬跳びの位置ならブリッジを渡すことができる

 ルールはいたってシンプル。ボード上の穴に、白番と黒番が交互に1手ずつペグを挿していくだけ。同じ色のペグが縦1横2あるいは縦2横1離れた将棋の「桂馬跳び」(囲碁でいうケイマ)の関係にあれば、ブリッジを渡してつなぐことができます。対辺にある自陣地をブリッジをつなげて連絡できれば勝利。ただし、自分や相手のブリッジは交差できないので、双方が陣地をつなげる可能性はありません。

対辺の陣地をブリッジでつなげることができれば勝利。この盤面では左右をつないだ白プレーヤーが勝ち 拡大
対辺の陣地をブリッジでつなげることができれば勝利。この盤面では左右をつないだ白プレーヤーが勝ち

定石を発見していく喜び

 囲碁をヒントにしたというだけあって、ケイマ、大ゲイマ(縦1横3の関係)、馬の顔(二等辺三角形)といった囲碁の定石にペグを置くとうまくつながったり、序盤の布石もプレーするたびに発見があったり。囲碁や将棋、チェスなどは先人の蓄積で多数の定石が発見されていますが、ツィクストは約半世紀の歴史。まだまだ鉱脈がありそうです。

アブストラクトゲームを多数販売しているスペインのネスターゲームズ。コットン製の筆入れのようなポーチが特徴。現在は紙製の箱に仕様が変わった 拡大
アブストラクトゲームを多数販売しているスペインのネスターゲームズ。コットン製の筆入れのようなポーチが特徴。現在は紙製の箱に仕様が変わった

 社団法人「日本ツィクスト連盟」も発足し、競技大会や普及イベントも開催されるとのこと。「今から囲碁や将棋を勉強してもなあ」と思っている方はツィクスト名人を目指すのも面白いかもしれません。

スペイン発おしゃれなアブストラクト

 スペインにネスターゲームズというゲーム製作会社があります。マウスパッド風のゲームボードと筆入れのようなコットンのポーチに入ったパッケージが特徴で、200種類以上のほとんどがアブストラクトゲーム。その中からアクリルのタイルを積み上げる「ペントアップ」と、アザラシとホッキョクグマの追いかけっこ「流氷に乗って」を紹介します。

ネスターゲームズのポーチの側面にはゲームに応じたイラストが。形状から土囊(どのう)の愛称も 拡大
ネスターゲームズのポーチの側面にはゲームに応じたイラストが。形状から土囊(どのう)の愛称も

タイルを積み上げる「ペントアップ」

 正方形5個を辺でつなげた図形を「ペントミノ」といいます。白、黒双方のプレーヤーはそれぞれ全12種類のペントミノタイルを持ち、交互に場に配置していきます。その際、①タイルは仮想の正方形グリッドに沿って置く②最下層に置く場合は他のタイルと辺で接する③できるだけ上層階に配置する(同じ形のタイルに重ねては置けない)というルールを守らなければなりません。最上階に置かれた自分の色のタイルが多い方が勝ちなのですが、できるだけ上層階に置くという縛りが利いていて、最上階の下にうまく足場をつくってもらえるよう相手を誘導することが大切です。

正方形5個が組み合わさったタイルを交互に配置し積み上げる「ペントアップ」 拡大
正方形5個が組み合わさったタイルを交互に配置し積み上げる「ペントアップ」

 タイルは高級感漂うアクリル製。積み上がったタイルは現代建築のようでもあり、バーの片隅でブランデーグラスを傾けながらといったシチュエーションが似合いそうです。

アザラシとホッキョクグマの対決

できるだけ上の階にタイルを配置しなければならず、駆け引きが生まれる 拡大
できるだけ上の階にタイルを配置しなければならず、駆け引きが生まれる

 「流氷に乗って」もテーマはあるものの、運要素、秘匿情報がない非対称アブストラクトゲームです。片方はアザラシ、もう片方はホッキョクグマとなり、ホッキョクグマは2匹のアザラシを捕獲すれば勝利。アザラシを1匹でも安全地帯に隔離できればアザラシの勝利。

 これもルールは簡単で、手番になると駒を8方向のいずれかに1~2マス動かし、元いたマスと通過マスに氷の穴チップを置いていきます。氷の穴は1マスだけは飛び越せますがそれ以上は無理。アザラシはうまく氷の穴の壁を周囲に築きたいものです。

 シビアな計算が要求されるゲームですが、ほのぼのとしたテーマからお子さんとの対戦はいかがでしょう。

逃げるアザラシと追いかけるホッキョクグマ。テーマ性がある「流氷に乗って」 拡大
逃げるアザラシと追いかけるホッキョクグマ。テーマ性がある「流氷に乗って」

 残念ながら、原材料入手難からコンポーネントの仕様が変わり、入手難のゲームもあるようです。ゲームショップや通販サイトに若干在庫があるようなので、気になった方は早めに入手を。【野地哲郎】=次回は8月28日掲載

「ツィクスト」データ

 2、4人用◆所要時間45分◆8歳以上対象◆アレックス・ランドルフ作◆1962年初版

「ペントアップ」データ

 2人用◆所要時間15分◆7歳以上対象◆ネスター・ロメラル・アンドレス作◆2014年初版

「流氷に乗って」データ

 2人用◆所要時間15分◆8歳以上対象◆フィル・レドゥック作◆2014年初版

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