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堀江敏幸・評 『立原道造 風景の建築』=岡本紀子・著

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『立原道造 風景の建築』
『立原道造 風景の建築』

 (大阪大学出版会・3960円)

幻想と現実に揺れる穏やかな風

 語と語のあいだに穏やかな風が通るような作品を残した夭折(ようせつ)の詩人立原道造は、気鋭の建築家でもあった。文学と建築がひとりの青年のなかでいかに分かちがたく結びつき、相互に浸透し合っていたのか、本書はそれを、文学作品に偏ることなく、残された図面を通して丁寧に読み解いていく。

 立原道造は一九一四年(大正三年)、東京の日本橋橘町(現・中央区東日本橋)に生まれた。この年に竣工(しゅんこう)した東京駅周辺には鉄筋コンクリートのビルが林立し、関東大震災による壊滅と復興がそこに加わる。建築物を観(み)る眼(め)はそうした日本橋界隈(かいわい)の環境と、幼少時から描き続けてきた絵画によって養われた。

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