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堀川惠子さん 『暁の宇品 陸軍船舶司令官たちのヒロシマ』

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 ◆堀川惠子(ほりかわ・けいこ)さん

 (講談社・2090円)

陸軍は海に敗れた

 人類初の原爆投下は、なぜヒロシマだったのか。広島に生まれ育った著者は長年、ある仮説を抱えてきた。

 市内中心部から南へ4キロの海岸埋め立て地。そこに陸軍最大の輸送拠点・宇品(うじな)港があった。日清戦争以来、近代日本の外征は、幾百万もの兵が全てここから送り出された。米国の原爆「目標検討委員会」の記録にも、乗船基地を狙ったとうかがわせる記述がある。いま宇品に往時の痕跡はほとんどないそうだ。

 太平洋戦争の敗因の一つが、後方支援のお粗末さにあったことは常識に属する。にもかかわらず、陸軍海上輸送の実態は戦後も知られずにきた。忘れられた陸軍船舶司令部(通称「暁(あかつき)部隊」)の創設から消滅までを、練達のノンフィクション作家が格調高い物語に編んだ。

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