気候変動対策で世界をリードするEU ドイツ洪水が問う課題
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ドイツとベルギーを中心に220人超が死亡した7月の大洪水は、気候変動のリスクから欧州も免れない現実を浮き彫りにした。なぜ被害は拡大したのか。欧州はどう対処しようとしているのか。現状を探った。【念佛明奈(ドイツ西部エアフトシュタット)、八田浩輔】
対策の限界をはるかに超える雨量
乾いた泥の臭いが鼻をつく。ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州エアフトシュタットのブレッセム地区。洪水から半月が経過した7月下旬、被害が甚大だったこの地区を歩くと、なお泥まみれの家具や家電製品が路上に山積みになったままだった。「もし2分遅ければ……」。避難当時の恐怖を振り返り、マリア・グローサーさん(69)は涙目になった。
それは7月15日の朝だった。近くに住む息子の妻がグローサーさん宅に駆け込み、こう伝えた。「知人の警報アプリによると、ブレッセムが避難区域になったらしい」。孫を含めた家族計5人と飼い犬、近くに住む84歳の高齢女性も一緒に同じ車に乗り込み、急いで家を離れた。
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