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五輪の夏・考/10止 「ニッポン、やった」の違和感=藤原章生

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健闘した松山英樹選手=埼玉・霞ケ関CCで1日、宮武祐希撮影
健闘した松山英樹選手=埼玉・霞ケ関CCで1日、宮武祐希撮影

 日曜の午後、昼飯のBGMにテレビをつけたらNHKで東京オリンピックの男子ゴルフをやっていた。そうか、ゴルフも五輪種目かと何げなく見ていたら、これが面白い。私は昔、亡父につき合い、打ちっぱなしに1度行っただけでゴルフはやったことがないし、中継も通しで見たことがない。友人知人に好きな人がいて「自然の中でプレーできて体にいいぞ」と何度か誘われたが、あれが自然か? 服装が格好悪いし、大の大人が「玉入れ」に夢中になって大丈夫かと敬遠してきた。金持ちのスポーツという偏見もあったが、実際に見てみると結構のめり込める。

 なんといっても、球を打つ「スパン」という音が小気味いいし、打った球をはるか先のグリーンによくのせるものだと感心する。打った途端、「オー・マイ・ゴッド」などと声を上げることから、球の行方がすぐにわかるのも大したものだ。あの小さな球を延々と打ち込んできたその人の半生を想像したりもする。グリーン上では打って変わって繊細な、ちまちました動作になる落差も味わい深い。

 そう、五輪は肉体を見る場だけでない。スポーツを知る場なのだ。私は12歳の頃からスポーツを見なくなり、以来、野球もサッカーも最後まで見たことがないし、ひいきのチームもない。新聞記者になって2年目に担当した松商学園(長野)が選抜高校野球に出たので甲子園に同行したら決勝まで勝ち進んだ。勝つ度に、9回は長いなあ、5回でいいんじゃないかと思っていたくらいだから、猫に小判なのである。

 男子ゴルフは接戦となり、1位、2位が決まっても3位に7人が並び、プレーオフとなった。くじ引きかと思ったら、誰か1人が抜きんでるまでコースを回るらしい。これは面白いとテレビにかぶりついていたら、7人の中にいた日本の松山英樹選手が早々に脱落した途端、プツッと中継が終わった。なじみのアナウンサーのアップになり、ゴルフとは関係のないゲスト3人と「うわあ、残念でしたねえ」「惜しかったあ」などとスタジオで嘆き雑談をすると中継は女子ボクシングに切り替わった。そうか、サブチャンネルかと、チャンネルを回してもゴルフは映らなかった。「まだ見てるんだよ、おかしくないか、替えるの」と私は絶叫していた。

 その失望感を作家の関川夏央さん(71)に訴えたら「オリンピック、楽しんでるじゃない」と意外そうな顔をした。「その終わり方は良くないね。でも、最後までやったら時間がかかるかもしれないし、先が読めないしね。テレビを流す方としては困るんじゃない? 録画を夜中にやってもらえばいいじゃない、どうせ電波余ってるんだから」。ところが、夜中にハイライト番組を見ても松山選手のがっかりを繰り返すだけで、7人の中から台湾の選手が銅メダルを奪う流れは見られなかった。

 「それじゃあ怒り心頭だね。書いた方がいいんじゃないかな、『それはないだろう』って」

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