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夏の味は絶滅危惧種!? 中小のラムネ製造業、コロナで苦境に

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全国ラムネ協会会長を務める木村飲料の木村英文社長
全国ラムネ協会会長を務める木村飲料の木村英文社長

 日本の夏の風物詩として親しまれてきた炭酸飲料のラムネが“絶滅”の危機に陥っている。絶滅というと大げさに聞こえるが、最近では製造会社がじわじわと廃業・事業撤退し、さらには昨年から続くコロナ禍がラムネ業界を追い詰めているというのだ。創業69年目という老舗ラムネ製造会社の社長を直撃した。

 「ラムネ製造会社は、絶滅危惧種の鳥、トキのように、言ってみれば絶滅危惧企業なんです。このままでは、日本からラムネが消えてしまいます」。そう訴えるのは、ラムネ飲料の業界団体「全国ラムネ協会」の会長で、静岡県島田市のラムネ製造会社「木村飲料」社長の木村英文さん(65)だ。

 日本のラムネ製造は、中小企業を守る「中小企業分野調整法」により、大手企業の参入は規制されている。製造を担うのは全国の中小のみ。1950年代には2300社も製造会社があったという。しかし、コーラなど他の炭酸飲料の普及、駄菓子屋など販売先の減少、大手メーカーとの競争激化といった時代の変化の中で、2019年には37社にまで減少。東京や大阪など大都市圏には複数社が残る一方、地方では製造会社のない「空白県」が増え、近隣県の製造会社が空白県をカバーしてきた。

 そんな状況に拍車をかけたのが、新型コロナウイルスの感染拡大だ。木村さんは「ラムネは、花火大会や夏祭りなどのイベント会場や海水浴場などでよく売れる、まさに夏場が稼ぎ時の商品です。…

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