「見る」ことを巡る問い 鷹野隆大さんの「毎日写真」という実験
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毎日、撮る。だから「毎日写真」。テーマや目的は設けない。写真家、鷹野隆大さん(58)はそんなふうに日々の暮らしの中で「見る」という行為を考察している。「カメラを絵筆のように使って自己表現する人もいますが、僕の場合、カメラは『見る』ことを巡る意識のありようを探るための実験器具」と鷹野さん。美術館では初となる大規模個展「鷹野隆大 毎日写真1999―2021」が、大阪市北区の国立国際美術館で開催中だ。9月23日まで。
カメラを身体の一部に
今も続くプロジェクト「毎日写真」は1998年に始まった。この無目的な撮影では「あっと思ったら反射的にシャッターを切る」という身体的な反応を重視する。ドラマチックな画面は求めず、「素人的な、ごく普通の撮り方」から生まれる写真。本格的に「身体」を被写体にするようになった当時、「自分の身体性を画面に持ち込むとはどういうことかを考えるようになったのがきっかけ」と説明する。いわば「カメラを身体の一部にする」実験だ。「それで何が見えてくるかも分からないし、発表する前提もなかった。日常の記録になればいい、くらいのニュアンス。まさか二十数年後にこんなことになっているとは」と話す。
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