タリバン「20年前の経験に学んだ」確信していたアフガン全土掌握
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イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンで再び権力を掌握した。2001年の米同時多発テロ後、米英による攻撃で政権を追われたタリバン。その後、米国主導でアフガンへ民主化支援が続けられたが、ガニ政権はあっけなく崩壊した。タリバンと米国、それぞれの「20年」とは。
アルカイダに依存した過去
「最初の課題は行政能力を高めること。市民の支持を得て、国際社会からも承認されたい」。アフガニスタンの首都カブールがイスラム主義組織タリバンに制圧される1週間前の8月初旬。こちらの質問をメモする手を止め、タリバン幹部が熱く語り始めた。「20年前の経験から、我々だけではうまくいかないことは分かっている。ガニ政権や政府軍で働いていたとしても、必要な人材には協力してもらいたい」。近く政権を掌握することを確信しているかのようだった。
タリバンは1994年に神学生を中心に発足した組織だ。当時アフガンは、89年のソ連軍撤退後に起きた軍閥による内戦で荒廃。「世直し」を掲げたタリバンを多くの市民も歓迎し、96年に政権を樹立して「イスラム首長国」を名乗った。
米国のクリントン政権(当時)も治安が安定するとの観点から当初はタリバンを支持した。だが、極端なイスラム教の解釈に基づき、女性の就学や就労を制限していることなどが明るみに出ると、一転してタリバンへの批判が強まった。
タリバンは国際的に孤立し困窮する中、資金が豊富で多数の戦闘員を抱える国際テロ組織アルカイダに依存した経緯がある。
複数のタリバン幹部は「我々は過去から学び、変わった。人権も擁護し言論の自由も保障する」と口をそろえる。確かに、過去とは違いメディア戦略を重視し、人権や表現の自由についても寛容な姿勢をアピールしている。取材に親切に応じてくれるメンバーも多い。
だが、タリバンが保守的な宗教的価値観に基づく集団である本質に変わりはない。「女性の権利擁護」についても、彼らの…
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