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緊急事態宣言を再延長 「目先の対応」は無責任だ

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 政府は東京都などに発令している新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の対象に福岡など7府県を追加し、期間を来月12日まで再延長する。

 1日当たりの新規感染者数が2万人規模に達し、重症者数も過去最多となっている。収束の見通しが立たない中、延長は当然だ。

 問題なのは、有効な対策を打ち出せず、漫然と追加や延長を繰り返す政府の無責任さだ。

 最近は家庭内感染の割合が増えている。家族への感染を防ぐためには速やかな宿泊療養が望ましい。だが、多くは自宅療養を余儀なくされ、待機中に容体が急変して亡くなる人もいる。

 集中的に病状を管理できる宿泊療養施設を増やすよう、政府と自治体は全力を挙げるべきだ。

 感染拡大防止にも本気で取り組まなければならない。政府は今回、百貨店など大型商業施設に対し入場者の制限を要請するが、対策が遅すぎる。専門家からは先月の時点で、休業要請を検討すべきだとの声があがっていた。

 国民の協力を得るためのメッセージも不足している。

 菅義偉首相は4度目の宣言を今月末まで延長した際、記者会見で「今回が最後となるような覚悟」と述べていた。

 ところが再延長に追い込まれ、責任を問われると「目先のことを解決に向かって全力でやるのが私の責務」とはぐらかした。

 見通しや対策が甘かったことを認めず、ワクチンや新たな治療薬の効果を強調するばかりでは、国民は納得できない。

 感染力の強いデルタ株が広がり、ワクチン頼みの戦略だけでは追いつかない。政府を挙げた総合的な対処が必要な時に、目先のことしかできない事態は深刻だ。

 野党は臨時国会の召集を求めている。難局を乗り切るため、与野党で議論する時ではないか。施策の充実に財源が必要となっても、補正予算を迅速に編成できる。

 来月には自民党総裁選を控え、10月で衆院議員が任期満了となる。続投を目指す首相は、来月の東京パラリンピック閉幕直後に衆院解散を検討しているとされる。

 コロナ対策が政局に左右されるようでは本末転倒だ。優先すべきは国民の命を守ることである。

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