「生活保護で風俗やめられた」 なまぽちゃんが伝えたいこと

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取材に応じる「なまぽちゃん」=2021年8月6日午後3時6分、山下智恵撮影(画像の一部を加工しています)
取材に応じる「なまぽちゃん」=2021年8月6日午後3時6分、山下智恵撮影(画像の一部を加工しています)

 <お金に困って風俗やるしかないかもと思ってる女の子みんな生活保護受給すること>。生活保護を受給する女性がツイッターとブログで、こう呼びかけていた。SNS(ネット交流サービス)上で「なまぽちゃん」と名乗る女性は借金が返済できなくなって風俗業界に入り、その後、新型コロナウイルス禍や抑うつ症状などの困難を経て生活保護にたどり着いたという。「風俗はセーフティーネットじゃない。当たり前に生活保護を受給してほしい」。生活保護バッシングが吹き荒れるSNSの世界から、なまぽちゃんが伝えようとしていることを聞いた。【山下智恵/デジタル報道センター】

 「メンタリスト」という肩書で活動するDaiGo氏が、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でホームレスや生活保護受給者を差別する発言をし、SNS上が騒然としていたころ、女性は思いを寄せる男性に生活保護を受給していることを打ち明けた。相手からは意外な言葉が返ってくるのだが、その前にこの女性がなぜ生活保護の受給を呼びかけるようになったかを紹介したい。

 女性は2021年6月にツイッターの個人アカウント「なまぽちゃん@元貧困風俗嬢」(@namapo_chan)とブログ「元貧困女子なまぽちゃん」(https://namapo.work/)を開設し、生活保護を受給する当事者として発信を始めた。ツイッターのフォロワー(読者)は400人余りとまだ少ないが、一部の投稿には数千単位の「いいね」がつくなど注目されている。

 冒頭の投稿の全文は次のようなものだ。<「コロナで可愛い風俗嬢増える」発言に対抗できるのはお金に困って風俗やるしかないかもと思ってる女の子みんな生活保護受給すること>。20年4月にお笑い芸人が「コロナが明けたら、なかなかの可愛い人が、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」と発言したことを意識したものだ。

 女性の貧困と風俗業界の関わりは深い。ブログには風俗業勤務の苦悩がつづられている。

 <毎日お腹(なか)痛くなりながら出勤して、ドブ臭い口に笑顔でキスして歯周病もらって。性を切り売りする度に尊厳は削られる>

 <結局普通のOLより貧乏だった。(新型コロナで)お客さん少なくて暇なんだからもっともっと出勤しなきゃ出勤しなきゃ出勤しなきゃ、そんな時に性病検査の結果、クラミジア陽性>

 <働きたくないけど働かなきゃいけなくて、でも働いちゃいけなくなって、薬代もかかって。生活は破綻していた。督促の電話が怖くてたまらなかった>

 <2週間後、茶封筒に入った生活費を役所から受け取った。すぐに市役所の食堂に入って、働かざる者なのにごはんを食べた。おいしかった>

 以下はツイッターの投稿だ。

 <借金返しきれなくなって風俗始める子へ。風俗やらないと返せない借金がある時点で返済計画が破綻してます、債務整理しましょう>

 <毒親から逃げてて生活保護受けれないとか昔の話だよ!みんな風俗辞めよ!>

 <女の子、支払いが詰んだからって風俗始めなくていいんだよ。女はいざとなったら身体売れるなんて決めつけを鵜呑(うの)みにしないで>

 取材を申し込むと、記事で名前や経歴について詳細を明かさないことを条件に応じてくれた。

借金膨らみ「風俗しかない」

 7月中旬。東京都内の貸会議室に待ち合わせ時間ぴったりに現れた。紺色のカーディガンに紺色の上下。穏やかな語り口と眼鏡の奥の知的な瞳が印象的な小柄な女性だった。

 生活保護を悪い意味で使うことが多いネットスラングの「なまぽ」ちゃんを名乗ったのは…

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