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ふるさと納税過去最高 膨張に歯止めをかけねば

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 税のゆがみが拡大している。憂慮すべき事態だ。

 自治体に寄付すると住民税などの優遇措置が受けられる「ふるさと納税」による昨年度の寄付が過去最高を記録した。総額は約6725億円で、前年度の1・4倍に増えた。

 ふるさと納税を巡っては、返礼品による自治体間の競争が過熱したため、調達額を寄付額の3割までと規制した新制度が導入された。これに伴い、2019年度分の寄付総額は減少していた。

 ところが昨年、再度増加に転じた。ふるさと納税ではインターネットで返礼品を選び、受け取ることができる。これが新型コロナウイルス下の「巣ごもり需要」を喚起したとみられる。

 新制度適用前は、大阪府泉佐野市が高い還元率で通販サイト「アマゾン」のギフト券を提供して巨額の寄付を集めたように、目に余る弊害があった。常軌を逸した競争は規制の導入によって、ある程度沈静化したかもしれない。

 だが、本来は「寄付」と無縁なはずの返礼品を通じて自治体が税を奪い合う構造は変わらない。

 自治体が返礼品の調達コストを抑えようと、国が農産品の業者に新型コロナ対策として支給する補助金を利用するケースが指摘されている。事実上の「高額返礼品」を可能とする抜け道となる。

 また、仲介サイト業者が寄付者を獲得するため、独自の財源でギフト券やポイント還元のサービスを競い合っている。現行制度では規制の対象外だが、こうした実態にも目を向けるべきだ。

 一方、自治体がコロナ下の医療支援などを目的に、返礼品なしで寄付を募るケースも増えている。すでに定着している災害時の自治体への寄付と同様、こうした活用こそ、あるべき姿だろう。

 ふるさと納税は菅義偉首相がかねて後押ししてきた。所管する総務省は、首相の影響力が強い。そのせいか、制度をさらに見直そうとする声はほとんど聞かれない。

 だが、このまま寄付が膨張すれば抜け道的な競争を加速させ、大都市圏と他地方の対立をいっそう強めかねない。

 健全化を図るには、やはり返礼品を廃止すべきだ。手をこまぬいていてはならない。

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