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素朴で、笑顔を絶やさず、とても礼儀正しい。でも国の将来に対しては、まったく希望を持っていない。6年前、欧州を目指すアフガニスタン難民に同行するルポをした際、アフガンの人々に抱いた印象だ。
イスラム主義組織タリバンの復権で、アフガンが再び揺れている。カブールの国際空港で飛行機にしがみついてまで国外脱出を図る人々の衝撃的な映像を見ながら、私はかつて一足先に国を出た難民のことを思い出した。一緒に旅した日々を振り返り、アフガンの人々が語った「絶望」と「希望」を改めて考えてみたい。
欧州を目指したある一家
2015年から16年にかけ、いわゆる「難民危機」が起きた。内戦が泥沼化していたシリアや政情不安に揺れるイラク、アフガンから100万人以上がドイツなどへ押し寄せ、「第二次世界大戦以降、欧州で最悪」といわれる人道危機が深刻化したのだ。当時ウィーン特派員だった私は、欧州に向かう難民と行動を共にする同時進行ルポを試みた。
トルコ本土から10キロしか離れていないギリシャのレスボス島。難民が押し寄せるこの島で出会ったのが、アフガン出身のアリ・バグリさんの一家3人だった。その後、一家がドイツにたどり着くまでの旅程を、時に見失い、そして再会しながら、約3週間にわたって追いかけた。この時、アリさん一家のほか多くのアフガン人とも話をする機会に恵まれた。
簡単に振り返りたい。私は15年11月2日、アリさんと妻のタヘリー・カゼミさん、当時4歳の長女フェレシュテちゃんの3人とレスボス島発アテネ行きのフェリーで出会った。
フェリー会社従業員のストで船からたたき出されたが、その後、ギリシャ本土へ渡航。マケドニア(現北マケドニア)、セルビア、クロアチア、スロベニア、オーストリアを経てドイツ入りした。セルビアで一家を見失った私は同11月20日、ドイツ南部メスシュテッテンの一時滞在施設でアリさんと再会した。
目指すドイツの場所も分からず
アリさんは少数民族のハザラ人。顔立ちは…
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