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「残ったのはガレキの山でしかない」 青木理さんが見た東京五輪

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インタビューに答えるジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区の毎日新聞東京本社で2021年1月14日、手塚耕一郎撮影
インタビューに答えるジャーナリストの青木理さん=東京都千代田区の毎日新聞東京本社で2021年1月14日、手塚耕一郎撮影

 なんだかスッキリしない気分だ。東京オリンピックが閉会して2週間。その理由は、じっとりした残暑の不快感だけではないだろう。日本のメダルラッシュに胸を熱くしたのは事実だが、「じゃあ、五輪は大成功じゃないか」と言われたら、素直にはうなずけない。そんな折、ふと、この人の話を聞きたくなった。ジャーナリストの青木理さんだ。口を開いた青木さんも、「いろいろ考えると、重い気分になる」というのだ。漂うこの「モヤモヤ」の正体とは――。【江畑佳明/学芸部】

可視化された「悪弊」

 ――オリンピック、見ましたか。

 ◆テレビで、少しはね。例えばスケートボード。ライバルがミスしても互いに励まし合う光景はほほえましいものでした。でも所詮、五輪はある種の「祭り」。いっときは大騒ぎして浮世の憂さから目をそらせても、終わってみれば「残されたのは巨大なガレキの山」というのが現実ではないですか。

 ――「ガレキの山」ですか?

 ◆ええ。政権がいくら否定しようと、現在の爆発的な感染拡大が五輪開催と無関係だと思っている人はほとんどいないでしょう。壮大な「祭り」を強行しつつ、一方で人びとに外出や移動の自粛を呼びかけるのは滑稽(こっけい)なほどの倒錯であって、協力が得られないのも当然です。もし中止または再延期し「それぐらいの緊急事態なのだ」と訴えていれば、感染拡大に一定の歯止めはかけられたかもしれないし、医療への負荷も軽減できたかもしれない。まあ、政府がこれほど無為無策では、いずれにしても厳しい状態には陥ったでしょうが、五輪強行下で爆発した感染拡大と私たちは向き合わざるをえず、医療にもアクセスできずに命を落とす人がいま現実に出ているわけです。

 また、膨れに膨れた大会関連経費は実に3兆円以上と指摘され、無観客によりチケット収入も失われました。事前に喧伝(けんでん)された経済波及効果もほとんどなし。さらに新国立競技場をはじめとする関連施設の維持費などを含め、これらがすべて税負担となって私たちにのしかかってくる。

 ――確かに……。気が重くなります。

 ◆それだけではありません。…

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