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元特攻隊員の裏千家前家元(その2止) 仲間の死、何のために

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西宮神社での献茶式を終えて引き揚げる裏千家の前家元、千玄室さん。亡くなった戦友を思い、「一番大事な命を捨てて飛び立っていった」と嘆いた=兵庫県西宮市で2021年4月19日、山崎一輝撮影
西宮神社での献茶式を終えて引き揚げる裏千家の前家元、千玄室さん。亡くなった戦友を思い、「一番大事な命を捨てて飛び立っていった」と嘆いた=兵庫県西宮市で2021年4月19日、山崎一輝撮影

 

 戦争への憎しみをあらわにする姿は聞く者を圧倒する迫力があった。それも「遺言」という言葉を使って。茶道裏千家の前家元、千玄室さん(98)はこう語った。「仲間は何のために死んだのか。今も嫌な思い出から逃れられない。お茶の精神で戦争をなくしたいのです。私の遺言です」。2018年12月。平成から元号が変わることについて尋ねた取材で、太平洋戦争の体験を口にした。特別攻撃隊という、死を避けられない任務を若い兵が命じられるという理不尽なことが許されていいのか。抑えようのない怒りだった。

 海軍の生活で唯一得たもの、それは「戦友愛」だったと千さんは特攻隊の日々を振り返る。訓練で失敗すると上官から一緒に殴られた。配給の食べ物を分け合った。「死ぬとは何か」と議論もした。「単なる助け合いではない、命運を共にした連帯意識がありました」

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