福島第1原発の処理水「沖合から放出」にこだわったギリギリの選択
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

東京電力は25日、福島第1原発の処理水を沖合約1キロの海底から流す計画を発表した。放出用の海底トンネルを整備するため、9月にも調査を始める見通しだ。原発事故から間もなく10年半。漁業関係者らが処理水の海洋放出に反対する中、放出の計画が具体化することになった。【岡田英、尾崎修二、柿沼秀行】
大規模工事不要な沿岸案との違いは
処理水の海洋放出を巡っては、政府・東電は沖合約1キロで放出する「沖合案」と、沿岸部にある5、6号機の放水口から排水する「沿岸案」の2案を検討していた。それがなぜ、沖合案になったのか。
処理水に含まれる放射性物質のトリチウムは、各地の原発で生じる排水にも混じっており、沿岸から海へ流されている。第1原発も2011年3月の事故前はそうしていた。
処理水を海洋放出する場合、沿岸案なら既存の設備を活用できるため、大規模な追加工事をせずに済むメリットがあるという。政府が今年4月に海洋放出を決定した直後、東電は記者会見で沿岸案を「第1候補」に挙げていた。
ところが経済産業省などによると、風評被害を懸念する福島県旅館ホテル生活衛生同業組合の関係者らから「やむをえず流さなければならないのなら、沖合を模索してほしい」と求める声が相次いだ。
これを受け、政府・東電は沖合案を検討。原発から放出口までを結ぶ海底トンネルの工事に時間も費用もかかるが、沖合で放出すると、トリチウムの濃度を薄める海水として取り込んでしまう可能性はほぼないことから沖合案を採用した。
ただし、役所内や専門家には、科学的には沖合案と沿岸案に大きな違いはないという見方がある。
海洋放出の前、…
この記事は有料記事です。
残り2408文字(全文3095文字)
時系列で見る
-
亡き妻へ「来世で会うべ」 10年経て石碑に名刻み、伝承へ一歩
752日前 -
お帰り二宮金次郎像 東日本大震災で倒壊、地元住民が私費投じ再建
754日前 -
福島・浪江の再開発 隈研吾氏の事務所が設計へ「世界に発信を」
757日前 -
処理水、風評被害、遠い帰還… 菅首相の退陣に福島の人々は
759日前 -
「少しでも明るく」 東京パラのビクトリーブーケ、障害者らが制作
762日前動画あり -
福島の帰還困難区域 20年代に希望者全員帰還へ 政府方針
763日前 -
木桶で「昔ながらの酒」 福島の蔵元、杉の香りと深い味わい
767日前 -
福島第1原発処理水の沖合放出 韓国外務省「深刻な遺憾の意」
768日前 -
震災復興「かわいそう」の先へ いわき出身の半谷静香、目指す金
768日前 -
福島第1原発の処理水「沖合から放出」にこだわったギリギリの選択
769日前深掘り -
東電、風評被害に迅速な賠償へ 処理水海洋放出で手続き簡略化
769日前 -
福島第1原発の処理水、沖合約1キロで放出へ 海底トンネル設置
770日前スクープ -
福島・浪江町、来秋にも準備宿泊開始 帰還困難区域の復興拠点で
773日前 -
原発作業員らのコロナ感染相次ぐ 東電「対策を検討する」
774日前 -
3.11語り部がパラ聖火ランナーに ピンクの髪なびかせつなぐ記憶
775日前 -
震災で犠牲になった子らへ 届け鎮魂の竹あかり 宮城・石巻
777日前 -
「いつの間に」 希少な植物、除染土仮置き場跡地で人知れず群生
778日前 -
「後世に教訓を」 大震災遺族、思い重ね 御巣鷹に慰霊登山
782日前 -
津島原発訴訟 原告と被告が控訴 1審は国と東電の責任認める
782日前