特集

東京パラリンピック

東京パラリンピックに関する特集ページです。

特集一覧

パラのエースたち

「壊し屋」の異名も 車いすバスケ鳥海連志、万能型を目指す理由

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
車いすバスケットボール日本代表の強化試合に出場した鳥海連志=東京都調布市の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で2019年8月30日、藤井達也撮影
車いすバスケットボール日本代表の強化試合に出場した鳥海連志=東京都調布市の「武蔵野の森総合スポーツプラザ」で2019年8月30日、藤井達也撮影

 パラリンピックの花形競技である車いすバスケットボール。日本男子の希望の星として、鳥海連志(22)は15歳で代表入りした。そんな彼をチーム関係者は今、「壊し屋」と呼ぶ。たくましくなった肉体で、攻守にバランスの取れた万能型を目指すようになった。

 17歳でパラリンピックに初出場した2016年リオデジャネイロ大会。粗削りだがスピーディーな車いす操作技術でインサイドに切り込み、シュートに持ち込む。初戦からの3連敗で1次リーグ敗退が決定して迎えたカナダ戦で、鳥海はきらめきを放った。

 リオ大会は天性のスピードと車いすの操作技術を買われた。日本代表では異例の10代での抜てき。「発育段階で鍛えれば、若い年齢から高いパフォーマンスを発揮できる。ここ(日本代表)で育てようと思った」と及川晋平監督(50)は言う。鳥海をモデルケースに若手の抜てきは続き、東京大会では全12人のメンバーのうち鳥海を含め20代前半の選手が4人選ばれている。鳥海も期待に応え、17年にはU23(23歳以下)世界選手権で4強入りに貢献し、ベスト5(優秀選手)にも入った。

 ところが、つかみかけた自信は、19年11~12月のアジア・オセアニア選手権で崩れた。結果は4位で、格下と思っていた韓国が準優勝したことにもショックを受けた。「以前なら相手のエースさえ止めていれば勝てていた。僕たちはチームで守るという意識で臨んでいたけど、車いすの操作といった個人技で抜かれる回数が多かった」。敗戦を機に、代表にとって自分にとって何が必要か考えた。

 障害の程度に応じて選手に「持ち点」がある車いすバスケットボール。障害の重い順に1・0~4・5点が与えられ、コートに立つ5人の合計は14・0点以内でなければならない。障害の重い軽いにかかわらず、平等な出場機会を作るためだ。得点源になるのは軽度の脊髄(せきずい)損傷など体幹が利く3・5~4・5点の選手。手や脚の先天性障害により3歳で両膝下を切断した鳥海は中間に当たる2・5点で、通常であれば守備的な役割を期待される。

 鳥海は手や脚の障害の程度は比較的重いものの…

この記事は有料記事です。

残り1276文字(全文2154文字)

【東京パラリンピック】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集